Suzu Masa ブログ

辛酸なめた男が美容室「経営」をリアル・ガチで語る

器量と度量

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器量と度量の違い

 

リーダーシップの資質を云々する場合、「器量」「度量」という言い方があります。

「器量」とは、仕事における対処能力のことであり、「度量」とは、他人からの批判でも、他人の失敗でも、受け入れる心の広さのことです。

 

陰陽で考えると、陽の力が器量、陰の力が度量です。

 

さて、リーダーに相応しいのはどちらの資質かというと、そうです、度量です。

器量優先で会社のトップになったり、組織の長となったりすると、自分自身、仕事ができるだけに、できない人を見るととても我慢がならなくなります。こんなこともできないのかと、できない人を軽蔑します。それが大きな威圧感となっていきます。

そんなリーダーには人がついていけず、人心が離れていってしまいます。

「名選手、必ずしも名監督ならず」とプロ野球で言われているようですが、典型的な例でしょうね。

 

一方の度量です。

人の能力を活かし、人を育てるのは度量です。

リーダーは、度量という陰の力を育てることにおろそかであってはなりません。

 

人間一人の力には限りがあります。人間一人の能力ではたいしたことはできません。衆知を集め人の力を活かすという謙虚な姿勢でマネジメントする力が欠かせないのです。つまり、度量の人が必要なのです。

 

有名な項羽と劉邦

器量にまさっていた項羽(こうう)は度量にまさっていた劉邦(りゅうほう)に最後には負けてしまいます。

項羽はまさに鬼神のような武勇で連戦連勝する戦の天才。一方の劉邦は、戦の才はまったくなくてもおおらかな人柄で推戴されて漢帝国を興すことになる度量の人です。

 

仕事のできる人の問題点

 

能力主義や実績主義を重要視するあまり、仕事のできる人をセクションの長(たとえば店長や人の上に立つ役職)に据えると問題が発生します。

私の経験から申し上げて、そういう例には残念ながら多く出くわします。

多店舗展開している会社のある店長のいる支店では、際立ってスタッフの離職が絶えないということがありました。

社長、そしてその店のスタッフへの聞き取り調査をしました。なんでもその店長は部下の失敗は許さず、かける言葉はきつくなる。時として、本人にそんなつもりはないのでしょうが、人格否定にも等しい言葉を吐いてしまう。

よく吐かれる言葉が「こんなこともできないのか、美容師失格!」です。

これでは労働審判に訴えられでもしたら、パワハラモラハラで100%敗訴でしょう。

 

原因は、仕事ができるという器量を優先した店長職への人事とわかり、社長の了解を得て、説得の上、技術職のトップとして相応しい名誉の役職を与えて店長から降りてもらいました。

後任に据えたのは、仕事の成果はそれほどでなくても、度量が大変まさった人です。

そのお店はそれ以来、離職するスタッフは出ることがなくなりました。

 

誰を登用するか?!

 

成果主義が言われ、成果主義人事が横行すると、同種の問題が発生します。ことに最近、経営的に余裕がなくなっているせいでしょうか、同じような例が多くなっている気がします。

 

つまり、器量よしの才人を登用するのではなく、才よりも徳の優れた人、つまり君子を登用することに尽きるのですね。それが組織マネジメントの要諦です。

 

 

「才徳全尽(さいとくぜんじん)、之(これ)を聖人といい、才徳兼亡(さいとくけんぼう)、之を愚人という。徳、才に勝つ、之を君子といい、才、徳に勝つ、之を小人という。凡(およ)そ人を取るの術、苟(いやしく)も聖人君子を得て之に与(くみ)せずんば、その小人を得んよりは愚人を得んに若(し)かず。」

司馬光資治通鑑』)

―才と徳が完全なる調和をもって大きな発達をしているのが聖人である。反対に、これが貧弱なのが愚人である。およそ才が徳に勝てる者は小人といい、これに反して、徳が才にすぐれている者は君子という。

人を採用するとき(あるいは登用するとき)は、絶対的に君子を採って、小人を排すること。小人を採るのであれば、むしろ才のない愚人を採るほうがよい。

 

【経営の原理原則】シリーズ㊷~㊺+番外編(最終回)

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5つある利益

 

【経営の原理原則】その42

「5つの利益と営業利益の重要性」

 

決算書の損益計算書(P/L)には5つの利益が記されています。

 

売上総利益(粗利益)

・営業利益

・経常利益

・税引前利益

・税引後利益

 

どれも重要な項目です。内容をきちんと把握できていなければなりません。この5つの利益のそれぞれをしっかり把握することが原理原則というわけですが、今回はこれの発展形で。

 

あえてこの5つの利益のなかで最重要な利益とはなんですか?と問われたら、あなたはなんと答えますか。

 

銀行に印象を良く見せるのは経常利益だから、経常利益が最も重要と答える人もいるでしょう。

 

いや、税金をできるだけ少なくしたいので、税引前利益とお答えになるでしょうか。

 

ここ数年、会社の業績評価として一番の重要な項目は「営業利益」なのですね。

確かに従来は「経常利益最強論」がまかり通っていましたが、さまざまな弊害が露呈したようです。

営業利益はそこそこにして、雑収入にたとえば保険の解約金などを突っ込んで経常利益を膨らませるなんてやりかたが、まったく評価されなくなったのですね。

 

その企業の本当の実力、つまり1年間、いかに本業で稼ぎ出したのかがモノを言う、そんな評価になったのです。

お気をつけください。今後の決算書の作り替えのご参考までに。

 

 確実な未来予測

 

【経営の原理原則】その43

「人口構造の変化はすでに起こった未来」

 

ドラッカーがその著『イノベーションと企業家精神』のなかで、「イノベーションのための7つの機会」としてその5番目に挙げているのが、「人口構造の変化」なのです。

ドラッカーは「人口構造の変化ほど明白なものはない」として、少し長いですが、そのまま引用します。

 

アメリカの10代の女性は安い靴をたくさん買う。基準となるのは、耐久性ではなくファッション性である。この同じ女性が10年後にはあまり靴を買わなくなる。17歳ごろの2割程度に減る。ファッション性は重要ではなくなり、履き心地や耐久性が基準になる。

先進国では、60代、70代の退職後間もない人たちが、旅行や保養の市場において中心的な世代となる。ところが10年後には、この同じ人たちが高齢者コミュニティの客となる。

共働き夫婦には金はあるが時間がない。彼らはそのような人間として消費する。また、若いときに高等教育、特に高度の技術教育を受けた人たちは、卒業の10年後20年後には、高度の再教育コースの受講者になる。

欧米や日本などの先進国はオートメ化せざるを得ない。少子化と教育水準の向上という人口構造の変化だけを見ても、先進国の製造業における伝統的なブルーカラーの雇用が減少することはほぼ間違いない。」

 

 

このように人口構造の変化は「すでに起こった未来」なのですね。近未来がどうなるかは容易に、しかも精度が高く予測できることなのです。

 

ところが現実には違うとドラッカーは言います。

「このような人口構造の変化が、企業家にとって実りあるイノベーションの機会となるのは、ひとえに既存の企業や公的機関の多くが、それを無視してくれるからである。彼らが、人口構造の変化は起こらないもの、あるいは急速には起こらないものであるとの仮定にしがみついているからである。まったくのところ、彼らは人口構造の変化を示す明らかな証拠さえ認めようとしない。」

 

本当にその通りですね。人口構造の変化を無視した政治や行政のせいで、年金をお年寄りに大盤振る舞い。豪華な保養所の建設に湯水のごとくお金を使いました。そして結果は、積み立てた年金の枯渇、高齢者と若者の年金受給の不公平を生み出し、年金そのものも破たんに瀕しています。

 

業界に限って見てみても、加速化する少子化の流れを無視して美容学校の設立ラッシュをした結果、定員割れが続出しています。一方では、人口減少は着実に進展しているにもかかわらず、美容室の新規乱立で顧客数を獲得できず、おまけに圧倒的な売り手市場になった美容師採用が困難を極めています。

 

すでに日本人の平均年齢は49歳です。世界一の高齢です。これもすでに起こった未来でわかっていたことです。顧客の半分を占める49歳以上の女性を対象に、49歳以上の特有の「お悩み」解決に向けて解決策を提示する、そんな選ばれる美容室づくりをやって来ましたか?

 

このように、人口構造の変化は近未来予測としては、すでに起こった未来のように確実に把握できるものです。気づいたときには変化に翻弄されるという受動的な姿勢では取り残されます。お店の存続そのものが危うくなります。

 

もうひとつ、コロナ禍によってますます進む分断化、非人間化、孤独化、デジタル化のなかで、あなたはどこに目を向け、どうやってビジネスを発展させていけばいいとお考えですか?

 

長く存続する誓い

 

【経営の原理原則】その44

「企業はゴーイングコンサーン

 

ゴーイングコンサーン(Going Concern)は「継続企業の前提」とも呼ばれ、企業が将来にわたり存続し、事業を継続していくという前提のことを言います。

 

財務諸表を作成するうえにおいての前提条件でもあり、株式が公開されている企業には、企業存続の前提に重要な疑義をいだかせる事象や状況が発生すれば、しっかりとその旨を「重要事象」として明記しておかなければなりません。田谷さんの場合は、残念ながらこの重要事象が明記されたままの状態です。

 

つまり、会社を立ち上げた限りは、企業を永遠に存続させます、という誓いの言葉がこのゴーイングコンサーンです。結婚式で結ばれた男女が、この愛を永遠に誓いますと宣誓するのと一緒です。

 

一度会社を創った限りは永遠に存続させたい。創業経営者なら誰でも思うことです。

 

しかし現実には、企業存続30年説、短い場合は10年説と言われるように企業の寿命は短いですね。

東京商工リサーチの調査によると、2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年だそうです。

また帝国データバンクの発表によると、100年継続する企業はたった2%だそうです。

 

だいたい、ゴーイングコンサーンを誓っても、志半ばで、刀折れ矢尽きて20年程度で倒産していくというのが実態のようです。

 

倒産の原因は、ほとんどが「販売不振」です。販売不振を引き起こした要因として、過当競争、消費税増税や今回のコロナ禍のように外部環境の変化と、後継者不在も含めたマンパワー不足といった内部要因があげられます。

 

と、外野席でああだこうだと訳知り顔で言っていても始まりません。

もう一度、ここで原点に立ち帰って、5年後、10年後の事業をどうしたいのか。自社が存続する社会的な意義と存在理由はなんなのか。それらのミッションとビジョンに立ち帰っていただきたいのです。

 

なるほど、自社と自社の事業がなければ地域社会にとっての大きな損失だ、もっともっと社会に貢献して、5年後はこうなってみせる、10年後はこうだ!

そんなミッションとビジョンの再確認をして、腹の底にズシリと収めていただきたい。

そして、さぁ、明日から具体的に何をやるのか、スタッフとともに目標設定して行動へと落とし込んでいってほしいのです。

 

そう、ゴーイングコンサーンをめざして。

 

デジタルの次に来るもの

 

【経営の原理原則】その45

「アナログな人間関係の深化」

 

気の利いた経営手法でもありません。最新のマーケティングテクニックでもありません。

規模の大小も、資本力の強弱も、まったく関係ありません。

 

最終的にモノを言うのは「人間力」です。

デジタルではなく、アナログの人間くささです。

 

デジタル化が進展し、このコロナ禍での非接触化、リモート化に象徴されるように、人間対人間のダイレクトな交感がどんどん希薄化してくると、逆に人間同士の触れ合いがとても貴重になってきます。

 

近未来予測において、信頼すべき哲学者や思想家がおしなべて強調しているのが、アナログな人間関係の復活です。

なかでも、いま世界で最も注目されている新進気鋭の哲学者であるマルクス・ガブリエルはアフターコロナの世界において、大変興味深いことを言っています。

 

グローバル化が民主主義の危機を引き起こしたとして、ローカルでしかもバーチャルな形ではない協力体制の構築が真の民主主義を生み出す。

 

●デジタル革命の後には、お互いがそばにいてリアルな関係性を構築するアナログ革命が起こる。

 

●「善」のビジョンを掲げた、道徳を中心にした新しい啓蒙主義の哲学が必要になる。

 

というようにアフターコロナ後の世界の在り様を述べています。なにもアフターコロナ後だからと先送りしていいわけではありません。おそらくすぐに来るであろうアフターコロナにそなえて、今から準備しておくのが賢明です。

 

マルクス・ガブリエルは哲学者らしく、難しい言葉で述べていますが、理美容業界流に翻訳して記せば、このようなことになるのです。

 

結論から申し上げれば、これは理美容業の豊かな未来を語っていることに等しいのですね。

なぜなら、デジタル後のアナログなコミュニケーションによって、ズタズタに引き裂かれてしまったかもしれない人間関係を真に豊かなものにしてくれる。ということは、民主主義の復活を意味しているということです。その担い手が理美容室だと解釈できるわけです。

 

しかもローカルな協力体制において、です。ローカルもローカル、地域密着の業態特性から言って、理美容業のことにほかならないのです。

 

さらに「善」のビジョンを掲げた新しい啓蒙主義を実践しているのは理美容業であり、まさにズダズダに引き裂かれてしまった、一人ひとり「個」の顧客を大事にして、‟そのまま・あるがまま“を受け入れ、尊厳と人間性回復を担う最前線に位置する理美容業の豊かな可能性を予測していることになりますよね。

 

デジタルでは決して得られないアナログによる人間関係の深さと可能性。

この可能性を徹底深化・発展させようじゃありませんか!

 

おまけの番外編

 

【経営の原理原則】番外編

「墓碑銘になんと刻むか?」

 

【経営の原理原則】シリーズは45回で終了といたします。

さらにその番外編として、どうしてもお話しておきたかったのがこのテーマです。

 

「墓碑銘に刻む言葉」――。

個人の人生の集大成となる言葉。自分が生きた証となる言葉。人生一回限り、この言葉に1ミリの嘘もないというぎりぎりの言葉。

この言葉通りに生きることを、その人のかけがえのない、価値ある人生というのでしょうね。

つまり、墓碑銘に刻む言葉をいったん決めてしまえば、その決めた通りの人生を歩むという、真っ直ぐに背骨の通った生き方ができるわけです。

 

先人の墓碑銘を見てみましょう。

 

「生きた、書いた、恋した」

スタンダール:世界的な小説家。まさに『恋愛論』『赤と黒』の名作を生んだ人に相応しい言葉ですね)

 

「科学への献身を通じ、人類のために生き、人類のために死せり」

野口英世:一生を科学に殉じた生き様の言葉です)

 

「己より賢明なる人物を身近に集める術を修めし者ここに眠る」

カーネギー:鉄鋼王としてその事業の成功には多くの才能豊かな人材を身近に置いていました。そして才能が豊かなだけに組織がバラバラになりかねないのを、見事にマネジメントによって統制したのがカーネギーです)

 

そして、日本人には墓碑銘よりもなじみの深い辞世の句、あるいは辞世の言葉。

 

「昨日の発句は今日の辞世、今日の発句は明日の辞世。

我、生涯に言い棄てし句々、一句とて辞世ならざるはなし。」

松尾芭蕉

―さすが俳聖といわれた芭蕉の言葉です。死に際に臨んで弟子から辞世の句を望まれたときに語った言葉です。「昨日の発句は今日の辞世の句、今日の発句は明日の辞世の句。私は生涯、辞世の句との覚悟で発句しなかったことは一句たりともなかった」と。凄い言葉です。

 

「天が私にあと十年の時を、いや五年の命を与えてくれるのなら、本当の絵描きになってみせるものを。」

葛飾北斎

―あの富嶽三十六景で世界的に知られる北斎。まだまだ描き足らない、本当の絵描きになっていない。いま死んだとしたら画家として大成がならないと思い込んだその執念。凄まじいものがあります。

 

あなたはどんな墓碑銘の言葉を刻みたいですか?

刻むべき文字に相応しい人生の終章が訪れる時=死から逆算していって、さて、今の生き様はどうなのでしょう? 墓碑銘通りの人生を送っていますか?

 

 

【経営の原理原則】シリーズは45回と番外編をもって、今回で一応終了とさせていただきます。まだまだ書き足りないことがあります。重要なことには変わりない原理原則はあと30回分はネタとしてあります。

 

結構気合を入れて書きました。でも、この辺でやめておきます。このような原理原則は頭で理解したとしても、実践で活かさなければ何の成果も生まないからです。数多くご紹介すればするほど、実践で落とし込むのはわずらわしさを感じてしまうでしょう。できれば言い出しっぺの私が伴走者となって一緒に走っていければいいのでしょうが、それも許されません。

一緒に走ってみたいと思われる方は、このたび勉強会を立ち上げましたのでこちらにご参加ください。「オンライン経営勉強会[未来創造]」といいます。

https://peraichi.com/landing_pages/view/jyukukeiei?_ga=2.190457899.1661916719.1622789191-680667943.1610193871

 

何もかもが変化が急で、また変化の揺れ幅が大きすぎます。

だからといって目先の、一見効果がすぐにでも出るようなテクニックやハウツーに飛びついてはいけません。こういうときこそ原点に、そう、原理原則に立ち帰ってみることの重要性をこのシリーズで訴えてみたのです。長い間お読みいただき大変ありがとうございました。

 

「一本のろうそくは何千本ものろうそくに火を灯すことができる。幸福もわかちあうことで減ることはない。」

ブッダ

 

 

 

とうとう2兆円の大台を割り込んだ市場規模 今後は一気に廃業の動き?

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理美容2020年の市場規模

矢野経済研究所の「理美容市場規模推移と予測」データを紹介します。

 

だいたい業界で発表される統計データほど当てにならないものはありません。たとえば厚労省で発表される全国の店舗数ですが、かさ上げされた数字のままで、実態を反映していません。なぜなら廃業届がカウントされていないからです。廃業届は厚労省(保健所)に届け出ずに税務署に届けます。それが現状。

 

ただ数少ない信頼性の高いものとして、この矢野経済研究所の調査は評価できます。

その「理美容市場規模の推移と予測:2019年度」を振り返ってみます。2019年度の市場規模、つまり理容室と美容室とで一昨年の2019年度はどれだけ売上げたのかというデータです。

 

過去5年間で500億円の市場が消滅

 

結論から申し上げれば、2019年度の理美容市場は、売上高ベースで2兆1253億円、前年対比で99.4%でした。0.6%の減少ということは、129億円の売上減少という大幅な落ち込みとなったということです。

 

美容業は81億円の売上減で99.5%、理容業は48億円の売上減で99.2%です。

 

ちなみに過去5年間の売上高推移を見てみましょう。※( )内は前年との増減。

・2019年度:2兆1253億円(-129億円)

・2018年度:2兆1382億円(-92億円)

・2017年度:2兆1474億円(-101億円)

・2016年度:2兆1575億円(-83億円)

・2015年度:2兆1658億円(-97億円)

 

なんと、502億円が過去の5年間で失われた理美容室の売上高です。

この失われた理美容室の売上がそっくりそのまま集客のポータルサイトに奪われてしまったという見方もできます。アホらしい限りですが。

(もちろん実質値下げのクーポン乱発で客単価減に見舞われ、売上を減少させていったというのが真っ当な分析ですが。)

 

そして、2019年度は、年末の消費税増税がありましたが、明らかにその影響は見て取れます。それで129億円の減。

数字だけ述べても実感がわかないかもしれませんが、129億円の減少ということは、年間売上高1000万円クラスのお店が1290店舗消えてなくなったということです。500億円なら5000店舗がこの5年間で市場撤退してしまったに等しいのですね。

 

予想を超えた結果

 

同調査レポートは2020年の売上予測を2兆1052億円として2019年度より200億円の売上減と予測を立てていましたが、はたしてどうだったでしょうか。私はブログで予測は甘いと書きました。ひょっとすると、2兆円の大台を割るかもしれないと予想しました。(2019年の理美容室の売上高は129億円の大幅減少)

 

フタを開けてみると――、本当にその通りになってしまいました。

さてこの度、2020年度の理美容の市場規模が発表になったのです。

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「理美容業の市場規模2020年度」矢野経済研究所


なんと、とうとう2兆円の大台を割り込んで1兆9700億円となってしまったのです。しかも前回の同調査で予測したのは200億円の減少でしたが、それを8倍近くも悪化して1553億円の減少に見舞われてしまったのですね。

 

この2020年度を加えれば、過去6年間で502億円+1553億円=2055億円もの市場が失われてしまったのです。年間売上高1000万円クラスの店が2万店舗も消えてしまったことに等しいのです。

 

しかしながら同レポートでは、今後の見通しとして、「新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、2020年よりは若干でも改善することを前提とし、Withコロナ時代に即したサロン経営が定着すると見られることから、2021年度の理美容市場規模は、事業者売上高ベースで2兆1,052億円(前年度比106.9%)、このうち理容市場が6,232億円(同105.8%)、美容市場が1兆4,820億円(同107.3%)になると予測する。」としています。

つまり売上は2兆円の大台を回復するということです。

一気に加速する廃業への動き


しかし、私はそんな楽観論には立ちません。

ここでモノを言うのは「編集者の眼」です。表面的な現象を結び付けて背後にひそむ構造を分析するという、職業的習い性である編集者の眼から推測するのですね。(と言っても、すべての編集者がそういう眼を持ち合わせているのではなく、名誉のために申し上げたいのですが、ごく一部です)


同レポートでも言っていますが、国内理美容市場は、少子高齢化の進行と出生率低下などによる人口減少で、市場規模は縮小が続く見通しである、という大きなトレンドが前提としてあるということ。

 

しかし、そればかりではないのです。

以上の大きなトレンドと同時に、経営者の高齢化(60歳代以上が過半数)、後継者の不在(後継者なしが8割)という内部環境要因が加わります。さらに、コロナ禍の売上減少という急激な外部環境要因の変化が重なるのです。

結果、経営者マインドは極端に落ち込み、今後は一気に廃業、あるいはM&Aという選択肢が増えてくる。

そういうふうに編集者の眼が語りかけてくるのです。

 

「死ぬのは決まっているのだから、朗らかにやっていこう。時間は限られているのだから、チャンスは今だ。」(ニーチェ

 

【経営の原理原則】シリーズ㊵~㊶

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あなたのお店の価値とは何か

 

【経営の原理原則】その40

「価格を下げるのではなく、価値を上げる」

 

これも原理原則中の原理原則です。

でも、アタマでは理解できるが、実行するとなると難しい。その辺が多くの声でしょうか。

ここで鉄板の価値を上げる方策をお話します。

 

その前に、上げるべき価値とは、どういうことを意味しているのでしょうか。

そして、あなたの最大の価値というべき‟ウリ“はなんでしょうか。

 

 

答えは「お客様に聞け」です。

 

 

できれば、あなたのお店の売上や利益の70~80%をもたらしてくれている上位20%のお客様に聞くことです。

 

「当店のお気に入りポイント」を聞くこと。(直接聞くのは抵抗があるという場合は、質問用紙のテンプレートがあります。以前、Facebookの「MASAサロン経営研究所」のページでお話したら大きな反響をいただきました。希望者にはテンプレート発送済みで、今回はやりません。またお客様の意見の集約方法もこのブログで何回かご紹介済みですので繰り返しません)

 

そこが、あなたのお店の「強み」の宝庫、つまりウリなのです。

ライバル店では提供することができない最大の「価値」です。

 

これを徹底的に深堀して、ライバル店が逆立ちしたって勝負にならないくらいの地点に位置を占めること(ポジショニング)。

 

これが価値を上げる鉄板のやり方です。

お客様のことならわかっているよという傲慢な姿勢ではいけません。

 

「あなたは顧客のことがわかっていないと考え、行動しなさい。」

ピーター・ドラッカー

 

 

上位のお客様に謙虚に耳を傾けることができれば、あなたのお店が進むべき正しい方向に導いてくれるはずです。

 

ROIとは?

 

【経営の原理原則】その41

「開業費を回収するROIという指標」

 

 ROI(アールオーアイ、ロイ)とはReturn of Investmentのそれぞれ頭文字を取ったもので「投資回収率」「投下資本利益率」を表します。

お店の開業時、あるいは支店開設時に使用した費用に対し、それを何年で回収できるかを明らかにした数字です。

 

ROIの計算方法は、1年間の営業利益を開業費で割って算出します。

 

たとえば、開業費が2000万円で、年間の営業利益が400万円の場合、

 

 (営業利益)400万円÷(開業費)2000万円×100(%)=(ROI)20%

 

 開業費の回収期間は、100(%)÷20(%)=5

 

つまり、開業費の2000万円は「5年で元が取れる(回収できる)」ということです。

 

ですから、この5年の期間をもっと短くしようと思ったら、開業費をなるべく安く抑えるか、営業利益をなるべく多くするか、です。

 

逆の場合もそうです。

開業費が多くなり、営業利益が少なくなれば、回収期間がそれだけ長くなります。これでは経営は安定しません。次の展開(さらなる支店開設など)を考えたとしても、金融機関は融資に前向きにはなりません。過大な開業資金で潰れてしまった美容室の例を私は多く知っています。まさに無謀な出店です。こんなことを繰り返さないように。

 

標数値がはっきりする

 

さて、もっと「ROI」の中身を見てみましょう。

開業費2000万円の場合、それを5年で回収する計画ならば、400万円の営業利益が必要になります。

ここで営業利益率を10%と仮定すると、年間の売上高は4000万円必要になるということです。

 

では、4000万円の売上を実現するために、月ベースに直すと

 

 4000万円÷12カ月=333万円

 

333万円の売上を見込むために、単価が7000円とすると、

 

 333万円÷7000円=476人

 

つまり476人の客数が必要になります。

さらに、3カ月に1回の来店サイクルとして、

 

 476人×3カ月=1428人

 

つまり、開業後3カ月間で1428人の総客数を確保しなければなりません。

そのための集客方法はどうする? 必要スタッフ数は何人が最適か?

そんなことを、できるだけ詳細にシミュレーションしてみることです。

 

異業種の例

 

ここで業種の例を取り上げます。

さすがにコロナ禍の影響はあったとはいえ、それまでの好業績のたまもので経営の安定は揺るぎないサイゼリヤです。

そのサイゼリヤでは新規出店する際に、ROIが20%を達成できるかどうかを重要な判断基準にしています。つまり、5年で開業費を回収することが鉄則です。

 

このROIの数値を達成するために、サイゼリヤは他にも指標となる数値を設定しています。

その一つが、1店舗当たりの売上高は1億円以上というものです。

そして営業利益率は10%以上、1店舗の開業費は5000万円です。

 

 営業利益=売上高1億円×営業利益率10%=1000万円

 ROI=営業利益1000万円÷開業費5000万円×100%=20%

 

5年で初期投資の開業費を回収する根拠となる数字が示されました。

さらにサイゼリヤでは、営業利益10%を実現するために、売上と経費の配分モデルを作っています。

 

 売上高・・・・・・・・ 100%

 原価・・・・・・・・・・40%

 粗利益・・・・・・・・・60%

    人件費・・・・・・25%

    設備費・・・・・・20%

    その他・・・・・・ 5%

 営業利益・・・・・・・・10%

 

サイゼリヤの儲けの仕組みはこんなところにも確立されているのですね。

 

経験や勘や度胸で経営する時代はとっくに終わっています。

経営とは科学なのです。

しっかりとこの「ROI」を設備投資の際のベースに据えて、安定経営、儲かる美容室づくりのために、出店計画、開業計画を立ててみることを強くお勧めします。

 

●☆●☆――

 

ホームページ開設のお知らせと「会員募集」!

 

さて、Suzu Masaが主宰するMASAサロン経営研究会」のホームページが出来上がりました。

一度覗いていてください。

www.masamgt2811.com

まだまだ制作途上です。どんどんブラッシュアップしていきます。

 

 さらにフレッシュな緊急企画としてオンラインの経営勉強会を立ち上げました。

名前は「未来創造」です。会員のみなさんとすばらしい未来を創造していきたいと思います。

鋭意会員募集中です!

https://peraichi.com/landing_pages/view/jyukukeiei?_ga=2.175706602.915093830.1621322695-680667943.1610193871

 

 

「ごくわずかの例外を除き、原則と手順を理解していれば、問題は実務的に解決できる。」

ドラッカー

 

債務超過と事業承継

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債務超過はどれくらいあるか?

 

債務超過に陥っている企業はどれくらいなのでしょうか。

中小企業庁が発表した「中小企業白書」(2019年)によると、全体の35%ということです。

 

問題は、2010年度のコロナ緊急融資によって債務超過はどのくらい増加したのかということです。8割経済、7割経済、つまりコロナ禍以前の売上に比べて7~8割の売上と言われるなかで、あくまでも私見に過ぎませんが、プラス10~15%だろうと推測します。(たぶん、甘い予測だと思われますが。)

ということは、コロナ以前の35%と合計して45~50%は債務超過ということです。

 

3社に1社は廃業の危機

 

ここに、経産省の衝撃的なレポートが加わります。

「衝撃の2025年」と題して

・中小企業の127万社(3社に1社)が廃業の危機

・650万人の雇用が失われる

・22兆円のGDPが失われる

というもので、原因の大半が「後継者がいない」。経営者のボリュームゾーンが65~69歳であり、後継者がいないのは、ストレートに企業の死活問題になります。

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1.社長が60歳以上でかつ後継者不足で事業継続が困難が全体の33%

2.債務超過に陥っている企業は全体の、少なく見積もって40%

 

1、2ともに該当する企業は33%×40%で13%となります。つまり中小企業380万社のうち50万社が後継者不在かつ債務超過企業ということです。

 

 美容業界も例外ではない

 

これはそっくりそのまま美容業界にも当てはまります。

少し前の2018年度のデータですが(厚生科学審議会生活衛生適正分科会)、以下のような内容が発表されています。

 

  • 経営者の年齢構成・・・「60歳以上」が51.4%と過半数
  • 事業継続の困難・・・・「後継者なし」78.2%
  • 今後の経営方針・・・・「廃業」16.2%

 

「60歳以上」の経営者が過半数を占め、「後継者なし」が8割、今後の経営方針を「廃業」と決めている割合が16%ということです。

廃業の危機にあるのは、先に掲げた経産省のデータよりも16%と少ないものの、ここにどれだけの債務超過企業が含まれるのかはわかりません。だいたい大差はないと見てよさそうです。

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いずれにしろ、廃業は間近な将来の方針であり、いずれ後継者問題が解消されなければ、現在営業している美容室の8割は、M&Aの対象にならない限り、後継者なしで廃業を選択せざるを得ません。少なくとも、M&Aの候補のテーブルに載ることができるのは、資産超過のところであり、債務超過では原則としてその対象外です。

 

幸い黒字決算であり、しかし後継者がいないというパターンでは、事業継続できるチャンスはあります。

 

事業承継の方法

 

後継者とのマッチング

 M&Aでは承継されない、地域の小さな商売を繋ぐ「ニホン継業バンク」という、事業を継がせたい人・事業を継ぎたい人とをマッチングさせる専用サイトがあります。もちろんこちらも黒字であることが条件です。

https://keigyo.jp/

 

このマッチングサイトの美容業界版があればいいと思いますね。

 

事業承継特別保証制度

そして、意外と知られていないのが「事業承継特別保証制度」です。

社長の家族や身内のなかに後継者の予定がなく、社員の中から後継者を選ぼうとしても、借入の際の個人保証は荷が重いものです。それを敬遠して、後継者たるに優秀な社員であっても事業承継をためらったりする場合があります。

 

そこで、事業を承継する人の個人保証を撤廃する制度が2020年の4月にスタートしました。それが「事業承継特別保証制度」というものです。

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/hosyoukaijo/index.htm

 

詳しくは、上記サイトを閲覧していただきたいのですが、この制度を利用する場合、財務基準があります。以下の条件を満たす必要があります。

 

①資産超過

②リスケをしていない

③法人と経営者の分離

④EBITDA有利子負債倍率が10倍以内

 

上記のうち④のEBITDA(エビットディーエー)とは、償却前営業利益のことで、

(借入金+社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)

で10倍以内が条件だということです。

 

営業利益重視の決算

 

金融機関に対して、今までは経常利益が最強でした。だから、営業利益はそこそこにして雑収入、たとえば保険の解約金などを突っ込んで経常利益を膨らませようと手を尽くしました。金融機関に見栄えがいいといわれる決算書を作っていたのですね。

ところがここ数年、そんな財務上の操作から経常利益にはそれほど重きを置かずに、代わって営業利益、つまり本業での儲けを重視するようになったわけで、これは世界の趨勢ともなっているようです。

 

こういった動きはきわめて真っ当なことであり、今後は「営業利益をどうやったら大きく見せるか」に経営者は意識をシフトさせ、本業での儲けをどうやったら高められるかに注力することです。つまり、営業利益重視型に舵を取り、もちろん営業利益重視の決算書にすることがポイントとなります。(この辺は顧問税理士さんにぜひご確認ください)

 

多くの店舗が消滅する業界の近未来

 

後継者がいないことで廃業を選択するケースが今後は、まさに爆発的に増えてきます。

しかしながら、廃業を選択するということは、無借金経営のところか、借入金があったとしても返済できる場合に限られます。

借入金の返済ができない、その他の債務が不履行になるといった場合は、多くは破たんとなります。

廃業、破たんのいずれかを選択せざるを得ないとしても、結論は、多くの店舗の消滅がここ数年で起きるというのが美容業界の近未来です。

それだけ新陳代謝があっていいというのは、また別の話。

 

「自分は、会社という一つの社会の中で、社員家業をしている独立経営体であると考える。」

松下幸之助

 

【経営の原理原則】シリーズ㊲~㊴

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損益分岐点と安全余裕率

 

【経営の原理原則】その37

「潰したくないなら損益分岐点を知れ」

 

今、私の主宰している「MASAサロン経営研究会」では専用のFacebookページを設けています。

https://www.facebook.com/masa.salonkeiei

 

ここで財務に関する投稿をここのところ頻繁に行っているのですが、他の投稿より際立って注目度が高い傾向にあります。

私の個人的なFacebookのページで「いいね!」をいただく数よりも、リーチ数は数倍から数十倍もあるのですね。

さすがに現在の状況をよく表しているようで、今回は財務の話をします。そして表題となったテーマ、「潰したくないなら損益分岐点を知れ」です。

“知れ”だなんて命令口調でエラソーですが、これくらい強調しておいたほうがいいと思ってですね。

 

読者の反感は一切考慮せず、はい、本題に入ります。

 

はたして自社の「損」もなければ「益」もない、収支トントンという損益分岐点はどれくらいなのか、それを売上高で表した損益分岐点売上高はいくらなのか。

これを知るということです。

 

損益分岐点を知れば、それ以上売上を上げれば収益となり、それ以下なら損失となります。

損益分岐点は以下の式で求めます。

 

 

つまり、損益分岐点を超える売上高を上げれば利益が出る、反対に、損益分岐点に届かない売上では損失が生じるということです。

[図で示せば、損益分岐点を売上高で超えれば、それだけ利益が増える(右上の赤い三角の部分のところ)、越えなければ損失が増えるという理屈がよくわかると思います]

 

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実際に数字を入れて計算してみましょう。

今、売上高3000万円、固定費が売上高の85%を占め、2550万円とします。

変動費率は売上に対する原価(材料費)の割合ですから、10%とします。

 

固定費2550万円÷(1-10%)=2833万円

 

2833万円が損益分岐点となります。

 

次に、「安全余裕率」という指標も重要です。現在の売上高から何%落ちても赤字にならないかという指標のことで、次の計算式で求められます。

 

 

実際の数字を当てはめてみましょう。

 

(売上高3000万円-損益分岐点売上高2833万円)÷売上高3000万円=5.6%

 

つまり、現在の売上高から5.6%(167万円)以内の売上ダウンであれば利益を確保できるものの、それ以上ダウンすれば赤字になるということです。

 

美容業は、人件費や設備投資などの固定費が多くを占める固定費型ビジネスです。

固定費型のビジネスの特徴として、損益分岐点に達するまでにはかなりの売上を出さないといけないのですが、損益分岐点を超えてしまえば、得られる利益は大きくなるということです。

 

美容室は体質的に赤字になりやすい

 

ですから、こういうことが見・え・て・きます。

現在のような新型コロナのパンデミックは収束の目途が立たず、度重なる緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の発令で、コロナ以前のような売上は上げられません。

しかも、安全余裕率が低い事業の典型ですから、簡単に損益分岐点を割り込んで赤字になってしまう可能性がとても高いのですね。

 

経営の原理原則シリーズの3回目「緊急時には経費の削減。次に売上を伸ばす方策を考える」でお話したように、安全余裕率を超えて売上が減ってしまった、そんな緊急時での打つべき手は、まずは経費削減。次に売上増大のための方策を考えるという手順に従ってください。

(美容室で初めての株式の上場をした(株)田谷は、大幅な赤字に落ち込み、緊急対策として定石通りコストの削減を発表しました。33店舗の閉鎖ということです。これで売上はピーク時の半分を軽く割り込みますが、コスト削減が優先順位の第一番目に来るという見本です)

 

それはともかく、この経緯節減のとっておきの方法があります。いわば“裏ワザ”というべきものですが、クライアントさんだけが手にできる情報となります。悪しからず。

 

 戦略的思考とは?

 

【経営の原理原則】その38

「参謀を持て」

 

参謀を語る場合、名著があります。大前研一氏の『企業参謀』です。大前氏の記念すべきデビュー作だけに気合が入っています。

 

[新装版] 企業参謀 戦略的思考とは何か

 

ここで語られている企業参謀の条件とは何か。要約しますと、いま何が問題になっているのか、という問題点の発見と絞り込み方、そして問題解決のための抽象化プロセスこそが戦略的思考であり、こういう戦略的思考のできる人こそが参謀の条件である、ということです。

 

難しいですね。何を言ってるのかわかりませんか。

たとえば「抽象化」。

人間は、自然界のなかから花を識別します。同じ花でも、桜、ハス、桔梗、バラ・・といったように名前をあててさらに細分化して世界を認識しています。これを抽象化と言います。

経済活動の抽象化、その代表例がお金です。

人と人との関係、その抽象化が言葉です。

ですから抽象化とは、人間が世界と渡り合って生きていくうえで必須の能力となります。

 

何もかもわかりやすくすればいいってわけじゃなく、最近のビジネス書で不満なのが、内容はどんどん薄っぺらで平易になっていまっていくということ。

ところがこの本はそんな生易しくはありません。思考のプロセスを追う、つまり抽象化は簡単にはいかないからです。たとえば著書のなかで述べられている理容店の戦略的思考。あのQBハウスの事業モデルの原点となった思考法です。

コンサルタントの必読の書と言われるゆえんですが、経営者はもとよりナンバー2、右腕、参謀などのポジションにある人にも必読の書でしょう。

難しい本を読むことで抽象化能力が鍛えられますし、思考力がそれだけ身に付きます。

 

参謀の条件と資質

 

参謀とは、ナンバー2、右腕、補佐役といった役割を持つ人の総称です。

さて、優れた参謀はどういった人物像でしょうか。有名なトップとその参謀の取り合わせを挙げるならわかりやすくなります。こんな人たちです。

豊臣秀吉黒田官兵衛本田宗一郎藤沢武夫井深大盛田昭夫劉備玄徳に諸葛孔明、皇帝ヴィルヘルム1世にビスマルク・・・といった、名コンビが思いつきます。

これらの人物の組み合わせから、いずれも経営トップの不足した資質を補う人物が参謀役にふさわしい資質と言えると思います。

たとえば、クルマづくりに異常なまでの能力と執着を持った本田に、圧倒的に不足した営業力をもって補ったのが藤沢です。人心掌握術に長け、統率力に異能を発揮した玄徳に不足していた戦略力を補った資質の持ち主が、玄徳が三顧の礼を持って迎えた孔明です。

 

そして、もうひとつ。参謀役の重要な役割があります。

それは、正しいと思ったらトップに意見を堂々と言うことです。

 

コンサルの出番

 

業界で名のあるコンサルの方がいます。その方はこう言っています。右腕とは、トップが白いものを黒というなら、黒という人のことだと。

とんでもないことです。

四六時中、事業のことを考えているのがトップですが、時に誤った判断をして暴走してしまいかねません。

こんなとき、「社長、それは白です」と堂々と言える人が右腕、あるいは参謀の条件です。トップにとって耳の痛いことでも苦言を呈する気概のある人が参謀の条件です。参謀がトップのイエスマンでは、組織は崩壊してしまいます。それは歴史が証明していることです。

 

また、トップも参謀役の意見は尊重して、自分が間違っていると気付けば率直に謝って軌道修正する謙虚さが必要です。

 

そういう人物が参謀役として社内に存在しないのであれば、社外を頼るしかありません。

それがコンサルタントというプロフェッショナルです。(上記のように質の悪いコンサルにはくれぐれもご注意を)

参謀役となるコンサルですが、複雑で多様性の時代での役割となりますから、ある程度の複数の能力とそれらを総合する力が必要です。

財務知識に長けていたからって、マーケティング力がおろそかであってはなりません。マーケティング力があっても組織マネジメント力が備わっていなければなりません。組織マネジメント力があっても、新事業を創出する構想力がなければならないでしょう。難しくて厳しい時代です、単発の能力だけではとても経営トップの参謀役は不適格です。

そんな複数の能力を組み合わせて抽象化して戦略的に統合する、そんなコンサルタントのことです。

 

そんな能力を持ったコンサルっているんですか?

はいはい、目の前にいるじゃないですか(爆 

三顧の礼をもって迎えてくださいね(笑)

 

鉄板中の鉄板

 

【経営の原理原則】その39

「ミッション、ビジョン、バリューの確立」

 

今回は、原理原則のなかの原理原則、「鉄板」中の鉄板と言える「ミッション、ビジョン、バリュー」についてお話しましょう。

なぜ、鉄板なのか。そして、なにかと誤解や混同が多い「経営理念」との違いにもふれてみたいと思います。

 

ドラッカーの定義とは?

ドラッカーは『ネクスト・ソサエティ』のなかでミッション・ビジョン・バリューの必要性を唱えています。そのドラッカーの定義に従いながら私見も交えてお話します。

 

ミッションとは‥

ミッションとは「使命」「目的」あるいは「存在意義」という意味です。

ドラッカーは、組織のリーダーが最初におこなう仕事のひとつは、自らの組織のミッションを考え抜き、定義することとしています。

組織のミッションさえ社員が正確に理解できれば、自らが貢献すべきものを見つけ出し、具体的な目標を設定し仕事に取り組めるということです。

 

松下幸之助さんの有名な話に、水道哲学という話があります。

 

ある夏の暑い日に、他人の家の庭にあった水道の水を勝手に飲む男を見かけた松下幸之助さんは、「水はたくさんあるから安い。だから勝手に飲んでも咎められない」と考え、「たくさんあるものは安くなる」ということに気づきます。

そして、

「家電製品をたくさん作って、安く提供し、人々の生活を便利にすることに貢献しよう」と考えて、社員にもそう話します。

その考えに共鳴し、「自分たちの仕事は単なる金儲けではない。人々の生活に貢献する仕事なのだ」と考えた社員たちのマインドセットが後の松下電器産業の発展を下支えしたというお話です。

松下幸之助さんの水道哲学は、自分たちの事業の存在意義を表していますから、「ミッション」ですね。

 

ビジョンとは‥

ビジョンは「ミッションが実現した姿(将来像)」と言い換えることができます。

リーダーが「こうありたい」という姿、自社が目指すイメージをわかりやすく組織の人間に伝えることができれば、組織の人間は実現に向けて巻き込まれていきます。リーダーの求心力が最も発揮される機会でしょう。

ビジョン、ミッション、バリューのなかでも、社員の動機付け、マインドセットという意味でもっとも重要であるのは、ビジョンです。

ビジョンは企業が目指す将来像です。

自分たちがどこへ行こうとしているのかがわからないと、仕事に取り組む動機付けができません。

明確なビジョンは、社内の求心力を高め、ベクトルを揃える効果があります。

 

バリューとは‥

バリューとは「価値観」「価値基準」のことです。

組織や企業に所属するメンバーにとっては価値基準が明確化されることで、将来(ビジョン)に向かうことができ、さらにミッションの実現につながります。

また行動基準になりますので、ミッションやビジョンよりも、より理解しやすい具体的な内容であることが求められるのです。社員は「自社の価値基準のもと行動する」ことなり、企業が与えたい価値を顧客に提供していきます。

 

「ミッション・ビジョン・バリュー」はいずれも社会的な理想に近く、ビジネスでいえば上位の概念です。リーダーは、理想を実現するためにミッションを考え、目指すべきビジョンとビジョンを達成するためのバリューを決めなければなりません。

 

経営理念との違い

 

多くの企業は同様の意味あいで「経営理念」や「企業理念」を公表しています。しかし、それらの言葉には「ミッション」が欠けているか、あったとしても明確性に欠けている場合が少なくありません。

これは、「ミッション」の概念そのものが日本になじみのないものだったことが一因だと言われています。

ミッションは「使命」「役割」のことなのですが、もともとはラテン語から派生し、キリスト教の福音(多くの人に教えを広める使命)に負っている概念です。つまり、自分たちの組織がミッションを果たすことで社会全体を良くするという強い信念が必要となるのです。

しかし、ミッションを単なる「自分(自社)が負うべき軽い役割」程度の意識しか持たない場合、ビジョンも意識の低いものとなります。意識の低いビジョンは、組織のメンバーの求心力にはつながらず、言葉だけがひとり歩きしてしまう可能性もあるのです。

以上がミッションと経営理念の大きな違いです。

 

そして「ストラテジー

 

ミッションの実現のためには、バリューとビジョンが必要であることは理解できたと思います。ビジョンとバリューを実現化するのに必要なのが具体的な「戦略(ストラテジー)」です。

具体的な戦略(ストラテジー)には「その組織にとって成果とは何か」を明確にし、求める成果と、成果のひとつである利益を求めるための計画を立てる必要があるのです。

戦略は、バリューやビジョンから離れて単独に存在しているわけではないのです。

もちろん、その下に続く「戦術」もそうです。

こういうコロナ禍など行き先が見えない不安な環境下では、ミッション、ビジョン、バリューを無視した(あるいは無視しようにも、もともとそれらの概念自体がない)、目先の儲け話などに貴重な経営資源を投入してしまう場合が見受けられるのですが、まったく見当違いの誤った選択です。

 

ゴールは?

 

ミッションを実現することは非常に困難なことです。ですから、その第一歩として戦略(ストラテジー)を立てながら、バリューを提示しつつビジョンの実現へと結びつけます。

つまり、ミッション・ビジョン・バリューのなかでは、ビジョンがひとつの目的であり、ゴールです。リーダーが明確でわかりやすいビジョンを示すことができれば、メンバーの行動や意欲が上がります。

その上で、組織内で大切にしている価値観を共有して目標であるビジョンの実現、ゴールへ向けて結束し活動できるのです。

ここでKIRINグループのミッション、ビジョン、バリューを参考までに紹介します。

 

KIRINグループの例

・ミッション:「あたらしい飲料文化をお客様と共に創り、人と社会に、もっと元気と潤いをひろげていく。」
・ビジョン:「日本をいちばん元気にする、飲料のリーディングカンパニーになる。」
・バリュー:「● お客様にとってあたらしい価値 ●お客さまの安全・安心、おいしさへのこだわり ●お客様・パートナー・地域とのWin-Win ●熱意と誠意」

 

 さまざまな価値観にあわせて、新しい価値を作っていくことがKIRINのミッションです。基本のビジョンをもとに、2012年には「キリン・グループ・ビジョン2021」という長期経営構想を策定しています。

ミッション・ビジョン・バリューのほかにブランドとしての約束「『飲みもの』を進化させることで、『みんなの日常』をあたらしくしていくこと。」も発表しています。

 

人はお金だけで動くのではありません。

当時の松下電器の社員のように、社長のミッションに共鳴し、「自分たちの仕事は単なる金儲けではない。人々の生活に貢献する仕事なのだ」とのマインドセットが引き起こされたのです。

 

ミッション、ビジョン、バリューが確立され、それが社員の血となり肉となって行動を促している企業は、どこよりも強い組織です。

ちなみに私=Suzu Masaコンサルティングのミッションは「クライアントのビジョン実現を全身全霊サポートする」です。

 

「企業の目的として有効な定義はただ一つである。顧客の創造である。」

ドラッカー

 

【経営の原理原則】シリーズ㉞~㊱

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広告宣伝費の費用対効果測定

 

たとえば広告宣伝費に10万円かけたとします。

結果、売上が10万円アップしたとして、元が取れたと判断するのは、まったく財務がわからない人です。

また、広告効果の評価指標は、ROIやROAS、CPAなんていうのがありますが、額面通りに見て、効果があった、なかったと判断するのは、マーケティングに無知か無頓着な人です。

 

原理原則をないがしろにしていると、経営判断が狂いっぱなしでとても危険です。

 

【経営の原理原則】その34

「広告宣伝費の費用対効果はすぐに判断してはいけない」

 

さて、こんな質問があります。

広告宣伝費に20万円使った。いくら売上げれば元が取れるかという質問です。

20万円使ったということは固定費が20万円増えるということです。

たとえば売上100万円で粗利益率90%のお店があったとしましょう。

固定費が20万円アップしたということは、求める売上高はこのようになります。

 

固定費増加20万円÷粗利益率90%=22万2222円

 

100万円+22万円=122万円

 

122万円の売上が最低限必要で、これで元が取れたという計算になります。

 

ところが、この計算には“大いなる勘違い”があります。

それは、時間経過(タイミング)とリピーターの数を計算に入れていないからです。

 

広告宣伝費の費用対効果を見る指標として「ROAS」があります。

たとえば20万円の広告費を使って50万円の売上を得られたとすると

50万円÷20万円×100%=250%(ROAS)

 

このように、250%の効果があったと判断できます。

さまざまな媒体の効果をこうやって測定していくわけですね。どんな媒体が一番高い効果があったのか、次回からは効果があった媒体に絞って、絞った媒体にコストを集中して宣伝してみよう、といったような判断になります。

 

しかし、話はここで終わりません。

だいたい3カ月に1回の来店サイクルだとすると、顧客予備軍(潜在客)があなたのお店の広告に目を触れて気に入ってくれたとても、まだ髪を切るまでに期間がある場合は、すぐには来店しません。満腹の人にいくら美味しそうなレストランの広告を見せても効果がないのと同じです。

幸運にも、あなたのお店の宣伝が気に入って1カ月後、2カ月後に来店する可能性だってあるのです。

 

タイミングとLTVの視点

 

そしてもうひとつ。

今回の広告で来店したお客様のうち、半分のお客様はリピートする可能性があると仮定できますよね。

さらにリピートした人の何割かさらに次も再来してくれる可能性もあります。さらに、さらに、再々来店で4回くらい継続来店してくれて固定客になっていただけるお客様も存在します。

 

もっと可能性を広げてみます。

一生のお客様になってくださる可能性もあるのですね。

 

さて、ROASによって瞬間的な効果測定はできます。

ところが、時間経過のタイミング、リピート率、固定客率、生涯顧客率(LTV)を考慮に入れていません。

ですから、1回の広告宣伝で効果はなかった、元が取れなかったとすぐに判断しないで、長いスパンで考えることをお勧めしたいのですね。むしろ、ここまでしないと正確な効果測定はできないわけです。

 

仮定の話ですが、シミュレーションしてみましょう。(ここでは話がややこしくなりますので、あなたの広告に反応してすぐ来店した人に限っての話とします)

 

広告宣伝で35人の新規を集客できた。単価は7000円とすると24万5000円A)の売上となった。

広告宣言費は20万円だから

24万5000円÷20万円×100=122%

ROASは122%だった。

 

このうち18人がリピートしてくれた。単価は同じく7000円として18人だから12万6000円B)。

 

そして3回目来店がまた50%の9人、単価は変わらないとします。

9人×7000円=6万3000円C

 

このうち3人の方が固定客になってくれたとします。このお客様の生涯価値は、今後一律で30年通ってきてくれて、来店周期が3カ月に1回で年4回、単価も固定で7000円とします。すると、

3人×30年×4回×7000円=252万円D

 

本当の広告効果は以下のようになります。

 

(A)24万5000円+(B)12万6000円+(C)6万3000円+(D)252万円=295万4000円

 

たった20万円の広告宣伝費をかけただけで、295万4000円の売上効果があったということです。

ちなみに前出のROASで求めると、1477%の効果というとんでもない数値を叩き出します。

 

あまりにも杓子定規な試算で信憑性に欠けるかもしれませんが、あくまでも広告宣伝をするということは、お客様と今後長い間にわたってお付き合いするための関係性を構築する第一歩ととらえることなのです。

ですから、経営者の考え方は、1回の来店でいかにお客様との関係性を築くか。ここに力点を置いてほしいのですね。

だってそうですよね、人口減少時代、たった1回でも来店していただいた「ご縁」を大切にしてほしい、ご縁を大切にできないお店は市場から撤退するのみだからです。

 

以上、広告宣伝の費用対効果をすぐに判断するのは危険だというお話でした。

 

「いまだに販売(セールス)とマーケティングを混同している経営者がいるのには驚かされます。マーケティングとは、製品やサービスに意味を与える仕事です。製造部門がつくった製品に、意味を与えて世の中に送り出すのがマーケティングの役割なのです。」(フィリップ・コトラー

 

とくに見送りの徹底

 

【経営の原理原則】その35

「出迎え三歩に見送り七歩」

 

今回は、いまさら申し上げるまでもなく、サービス業としての基本中の基本、原理原則のお話です。

 

「出迎え三歩に見送り七歩」

 

生身の人間を相手にするビジネスの基本姿勢であり、とくに理美容などダイレクトに人に触れ合う対人サービス業にはピタリを当てはまります。

 

仕事に欠かせないのが礼儀、マナーといったものです。礼儀、マナーができていないと最悪の結果をもたらします。

“こんな店、二度と来るか”

と失客に。あるいは、もっと過激に

“責任者出せ!”

なんてクレームに発展することにもなりかねませんよね。

 

「出迎え三歩に見送り七歩」は、お客様を迎え入れ見送る基本中の基本の礼儀であり、マナーです。

 

ところが、出迎えに気を使ってくれるところはあっても、帰る段になると、新しいお客を迎えることに目が向いたり、あるいは他のお客に対応したりで、そっけない対応をされることが多いですね。忙しいのは理解できますが、じつに寂しくなります。

 

最新のマーケティング関連の調査結果では、「顧客を失う場合のほぼ70%が、販売後になんの働きかけもしなかったため」だということです。

 

さらに、こちらは理容室の例ですが、全国300店舗の加盟店を誇るライオンヘアサロングループが継続的に行っている百万人に及ぶ顧客調査の結果も、「失客の最大原因は顧客に対する無関心」だという結論が出ています。

 

それだけ、出迎えた後の、お見送りも含めた対応が大事だということですね。

 

出迎え三歩、見送り七歩とはいっても、物理的に三歩、七歩というわけではありません(笑)

できれば、来店客の姿を目視できた時点で事前にお店のドアを開けてお迎えする、角を曲がってお客様の姿が見えなくなるまでお見送りする。そういう姿勢が望ましいと思うのですね。

これは、まず形から入ることです。マニュアルにしっかりと定めておき、何度もロープレをして実践してみることです。

 

私自身、多くのサロンを訪問させていただいて、私の姿が見えなくなるまでお見送りをいただいた経験は多くありますが、訪問した実際のサロンの数からしたら、とても少ないように思います。

本当に「出迎え三歩に見送り七歩」を経営者自らが実践してスタッフのみなさんに範を垂れているところが少なく、ちょっとがっかりしますね。

(そして、お見送りの際にお声掛けする「魔法の言葉」があります。でも、またの機会にお預けとさせてください)

 

受けるほうの立場からすれば、出迎えよりも、そういう見送りのときのシーンのほうが、余韻を残し、残像のようにいつまでも目に焼き付いていて消えることはないですね。

 

なぜなら、「今日あなた様に出逢えた幸せを感謝いたします。どうかお幸せにお過ごしください」という、まさに一期一会の出会いであり、別れであるから、それだけ印象深く、記憶に深く刻まれるからでしょう。

 

孔子の曰わく、命(めい)を知らざれば、以(もっ)て君子たること無きなり。礼(れい)を知らざれば、以て立つこと無きなり。言(げん)を知らざれば、以て人を知ること無きなり。」

 

論語』の言葉です。

孔子先生が言われた、「天命がわからないようでは君子とは言えない。礼儀がわからないようでは安定してやっていけない。言葉がわからないようでは人を知ることができない。」

 

 

どんなに忙しくても、お見送りは七歩の姿勢で「礼」を尽くすこと。でなければ、経営は安定するものではありません。

 

売上を構成する3つの要素

 

【経営の原理原則】その36

「売上は客数×客単価×来店回数で成り立つ」

 

売上を構成する要素を分解してみます。

すると、「客数」「客単価」「来店回数」「3つの要素」に分解され、しかも3つの要素の掛け算によって売上は成り立つことがわかります。

 

とても重要なことです。

 

たとえば客数ばかりに注力して料金ダンピング、つまり単価減に踏み切って集客したとします。確かに客数は増えるかもしれませんが、単価は下がります。

そして、来店回数はどうなるのか? むしろ料金の安さに惹かれてやって来たお客様は、それよりも料金的に安い他店が見つかれば、そちらに流出してしまう可能性は大でしょう。

極端な話、年に1回ないし2回の来店で終わってしまうかもしれません。

すると、客数の歩留まりがなくなりますから新規客に頼らざるを得ず、新規客集客のための広告宣伝費が増大する一方となり、途端に負のスパイラルに落ち込みます。

 

こうなると、結局は望む売上は得られなくなります。(料金のダンピングはその他さまざまな弊害をもたらしますが、ここではこれ以上ふれません)

 

大事なことですので、繰り返します。

 

売上=客数×客単価×来店回数

 

目標利益と必要売上高の求め方

 

では、粗利益が90%、固定費が85%、利益(経常利益)が5%のA店があったとします。

安全性を確保するために、利益をなんとしてでも倍の10%にしたいとA店の経営者は考えました。

この場合、A店の必要売上高はどうなるでしょうか?

やはり売上も倍は必要でしょうか?

 

必要売上高はこのように求めます。

 

必要売上高=(目標利益+固定費)÷粗利益

 

目標利益10+固定費85=95

95÷粗利益90=105(必要売上高)

 

必要売上高は5%アップの105です。けっして2倍の売上ではありません(笑)

 

これを実際の数字に当てはめてみましょう。

A店の売上は3000万円で、客数1000人、客単価6000円、来店回数5回とします。

 

客数1000人×客単価6000円×来店回数5回=3000万円

 

目標売上高は5%アップで3150万円です。

 

目標売上を実現するための方法は、こうです。

・客数・客単価をそれぞれ“たったの”2%アップします。

・来店回数を“たったの”0.1回増やします。

 

すると、客数1020人×客単価6120円×5.1回=3183万円

 

5%アップの目標売上は達成されたわけですね。(図参照)

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売上を構成する要素を3つに分解して、なおかつ目標利益を実現するための必要売上を算出する。3つの要素に分解したそれぞれの目標値を定める。あくまでも3つの要素の数値目標を実現するために、バラバラではなく同時に着手すること。どうやってやるか、その目標値達成のための戦略/戦術を立てれば、ぐっと実現は可能であるとわかってきます。

実現可能な数値なら、根拠もなくがんばれとハッパをかけるのではなく、数字を使って説明すれば、スタッフにもわかりやすいですよね。しかも、わずかにアップした目標数字ですから、スタッフもがんばれば実現できると意欲もわきます。(事実、私のクライアントさんの店長クラスに以上の説明をすると、みなさん目からウロコのようで俄然がんばります。そして具体的な行動計画も自発的に発案され、PDCAサイクルを回しながら目標売上を、ひとつの例外なく実現されます)

 

ぜひ、目指す利益はどれくらいなのか。

そしてその利益を実現する必要売上はどれくらいなのか。

必要売上を実現するための3つの要素それぞれの目標設定値を求め、具体的な実行計画に落とし込んでください。今すぐに。

 

もし、実行計画をどのように策定していいかわからないという方はご一報ください。

 

 

「ビジネスを大きくする方法は、たった3つしかありません。

 

クライアントの数を増やす(顧客数増加)

クライアントあたりの取引数を増やす(平均購入額増加)

クライアントの購買の頻度を増やす(平均購入回数増加)

 

このことだけにポイントを絞ればいいのです。

私はこの3つのポイントに対して、異業種からの手法を応用してクライアントを成功させてきました。」

(ジェイ・エイブラハム)

 

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初出掲載:2020 年3 月19 日