中小零細つぶしの安倍政権
安倍政権とは一言で言えば中小零細企業イジメ政権だと思います。
消費税増税自体もそうですが、それにともなう買い控えに対応すべく生まれたキャッシュレス決済・ポイント還元制度。当初は200万店が導入するとしていたのですが、実際は90万店に過ぎません。大手のコンビニやスーパーで80%を利用していて、家電量販店や中小の商店はまったく利用していないのですね。本来、中小企業支援のはずなのですが、現実は大手のスーパー、コンビニの支援になっています。来年の6月でこの制度はやめる予定でしたが、IMFの提言通り、それ以降も続くはずです。
まして軽減税率対応レジは高くて中小の小売り店では導入できていないのが現状です。
そして、増税によって恩恵をこうむるのは、大企業ばかりで、消費税が上がれば上がるほど戻り税の恩恵がある輸出事業者は潤います(トヨタなんて4000億円の戻り税)。半面、中小企業は倒産ラッシュに見舞われます。なにせ2025年までに中小企業の3分の1にあたる127万社がつぶれ、650万人の雇用が失われる。22兆円分のGDPが無くなってしまうに等しいと、これは政府(経産省)がちゃんと発表しているのです。まさに衝撃ですよね。
経産省のレポートはこちら→https://news.livedoor.com/article/detail/17148103/
そして、インボイス制度です。売上1000万円以下の個人事業者は適格事業者として申請しなければならず、こうなれば消費税の免税という恩恵がなくなります。個人事業者への集中潰しです。
まさに中小零細企業イジメここに極まれり、ですね。
いままでのやり方・考え方ではすでに通用しない
とはいえ、今までの商売のやり方、考え方では全く通用しない、とんでもない時代がやって来たことは確かなことです。
とんでもない時代を生き残る、まして勝ち残るとなると、「絶対やってはダメな4つのこと」があります。これは失敗した私だから言えることです。反面教師として聞いてください。
1.単価を下げる
2.情報に振り回される
3.怪しいところからの借入
4.思考停止
理由を説明します。
□■□■□
まず「1.単価を下げる」こと。これは中小規模のサロンにとって禁じ手です。どんな業界でも同じです。資本力のある大手にはかなわないからです。大手は材料費の集中仕入れができますから、極端に安く仕入れられます。聞いた話ですが、大手のディーラーは5掛けで大手の美容室に材料を卸すことができます。さらにそれ以上の値引きでも、ディーラーはメーカーに泣きつき、メーカーは従わざるを得ないということです。かりに5掛けで仕入れられれば、通常のサロンが9掛けで仕入れているとすると、それよりも4割の安さで仕入れているということです。これだけで粗利益が4割もアップするのです。価格競争は最初から勝負になりません。言うまでもないことです。
「2.情報に振り回される」こと。これもよく見られる例です。高度情報化時代です、自分の目指すべき方向性が定まっていないと、情報がすぐに手に入るだけに情報に翻弄(ほんろう)されます。あっちの儲かる話、こっちのおいしそうな話に飛びつきます。最後には糸が切れたタコになってふらふらと迷走します。こうなると迷子の経営状態で、遅かれ早かれ破綻します。
自店はどういう軸足で過当競争の時代に立つのか、明確になっていないからです。明確になっていれば、たとえネットであっても有益な情報に出合えます。
経営とは、多数の選択肢の中から1つを選択すること、同時に多数の選択肢を捨てることでもあるのです。「選択と集中」こそ中小サロンが生き残る道です。
「3.怪しいところからの借入」です。資金繰りが苦しくなったからといって安易な借入は厳禁です。カードでのキャッシング、消費者金融からの借入ですが、利息の高さを考えてください。返せる可能性は大変低いです。なぜなら利益が出ていないところに10数%の金利負担が発生するわけですから、土台ムリなことです。
まして正式な金融業の免許を持たない、いわゆる“闇金”は絶対避けてください。あなたの会社が潰れるまで法外な利息から離れられません。いや、会社が倒産しても個人の債務として残りますから、どこまでも追いかけてきます。たとえあなたが返済の苦しさから自殺をしたとしても、その遺族を追いかけます。これは事実です。もともと違法な業者ですから法律は通用しません。
こんなことにならないように、しっかりと利益が出せる経営をやってほしいと思いますが、やむなく資金繰りが窮した場合、上記の金融に頼らずに救われる方法はいくつもあります。別のブログで書きますね。「えっ、そんな方法があったのか!?」と目からウロコの資金繰り法です。
「4.思考停止」です。こうなると経営者として断末魔を迎えていると言っても過言ではありません。もうどうしていいかわからず、判断は他人任せ。じつはこんな状態に陥っている経営者はたくさんいるのです。特に理美容業界は。これは上記「2.情報に振り回される人」にも顕著な傾向です。
適切な例としてセミナージプシーなんていうのがその典型です。あっちのセミナー、こっちのセミナーと受講しまくり、その都度いい話を聞いたとばかりにインプットするのですが、それで満足してしまって行動に移れない人がいます。行動に移れなければ成果はゼロで、ゼロだからまた不安になり、セミナーの受講を繰り返します。最後には受講すること自体で満足してしまう。そんなセミナージプシーです。
また違った例で、今、勢いのいいFCの傘下に入ること。これは本当に気を付けたほうがいいです。だいたいFCの最も魅力なものといえば、セブンイレブン、マクドナルド、コメダ珈琲‥‥といったように、圧倒的な知名度、ブランド力です。いったいこの日本で圧倒的な知名度やブランド力を持っている理美容サロンってありますか? せいぜいQBハウスくらいなものでしょう。ところがQBハウスはFCではありません。たとえ100店舗あろうが200店舗あろうが、知名度やブランド力があるところはひとつもないのが現実です。FCのオーナーになってみて、こんなはずじゃなかったと落胆するのは目に見えています。
例外はあります。知名度もブランド力もないとしたら、集客と売り物(特殊メニュー)に特化した、つまり儲かる制度設計がしっかりしているところを選ぶべきです。しかしながら競合店ばかりのなかで、集客のシステムや売り物があったとしても、すぐにキャッチアップされて、儲けを持続することは難しいと、これだけは断言しておきます。
■□■□■
経営とは自分の裁量で、自分が主人公となって運営するものです。そんなすばらしい特権を他人に譲ってしまったら、これは経営の放棄です。そんな例がじつに多い。
資金繰りが苦しくなる前にご相談ください。個別相談をします。地獄を見た男だからこそ提案できることがある。きっとお役に立ちますよ。
戦略とは何をやらないかを決めることである。(マイケル・ポーター)