売上を追うな!
今の時代、売上ばかりを追っていると痛い目に遭うということです。
追うべきなのは「利益」であり「キャッシュ」です。
ある経営者は自慢気にこう言います。「今期も売上は伸びた」と。
逆に質問を返します。「既存店の売上はどうでしたか」と。途端に声音のトーンが落ち、「横ばい、あるいは下がった」と。
つまり、売上効果は新規出店での売上がオンされたに過ぎないのです。新店出店の分、借金と人件費が増えて、全体の売上は上がったとしても利益は下がっています。
これでは今の経営は持たない。
利益が減って借金が多くなれば、自己資本比率が減少して、返さなければならない資金ばかりが増えて、やがて倒産していきます。
そのXデーは想像するより早くやって来ます。
倒産のスピードを加速させているのは、もちろん異常レベルをはるかに超えた過当競争です。
そしてもうひとつ大きな原因として「人口減少・高齢化社会」の急激な進展があります。
ご存知のように1億2808万人の人口のピークを迎えた2008年を境に、日本は人口減少に転じました。先の太平洋戦争を唯一の例外として、日本が初めて経験する事態になったのですね。
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」(平成29年推計)では、2053年に総人口はついに1億人を割り込み「9924万人」、2065年には8808万人になると推計されています。
[1] 衝撃的な数字
2019年の総人口は1億2470万人ですから、2053年、つまり今から33年後には9924万人になるということは、2546万人の減少ということです。
この2546万人は、九州、四国、東北地方の人口がそっくりそのまま無くなってしまうに等しいのですよ。あるいは近畿圏の人口がそっくりそのまま無くなってしまうことにも。
衝撃的じゃないですか!!!!!
九州、四国、東北地方に、あるいは近畿地方にいったい何軒の理美容室があるのでしょうか。それがそっくりそのまま無くなってしまう!!!!!
33年後に突然2500万人の人口が減るのではありません。毎年77万人規模の都市が消滅していくのに等しいのです。77万人といえば、だいたい静岡県の浜松市に充当する人口です。
ところが、じつはこの推計自体も甘いと言わざるを得ない事態が起こってしまったのですよ。
「日本の厚生労働省が24日、2019年の人口動態統計の年間推計を発表し、同年の国内出生数は86万4千人となり、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回ったことがわかった。
国内出生数86万4千人は前年に比べて5.92%の減少。2017年4月の国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計では、出生数が90万人を割り込むのは2020年、86万人台となるのは2021年と予測されていたが、減少ペースは2年早まったことになる。5%を超える減少率は1989年以来30年ぶり。」
マスコミの発表を要約してみました。2019年の出生数は90万人を割ってしまったのです。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計より2年前倒しで。しかも5%を超える減少率は1989年以来30年ぶりであると。
国の少子化対策はまるで無為無策で機能していませんね。ですから出生数の減少傾向はこのまま続くとみて間違いないでしょう。
一方では、老年人口割合は、2036年で33.3%、2065年で38.4%。つまり2.6人に1人が老年人口になると推計されているのです。
[2] 利益確保のためにやるべきこと
年金はどうなる、という問題は措くとしてですよ、市場は縮小していくことは間違いありません。市場が右肩上がりに拡大している時代なら売上至上主義でよかったのですが、市場縮小時代の正しい経営のあり方は、「利益・キャッシュ至上主義」に考えをシフトしていかないと生き残ることはできないということです。
ですから生き残るためには、
「新規客を絶対手放さない」
「顧客の囲い込み」
これしかありません。
ではその具体的方法は?
ブログ記事のバックナンバーで特に「あなたの未来を左右する、とっても重要なこと」をお読みください。
事業にとって最重要なのは、顧客にとっての価値である。
(ドラッカー)