サロンを取り巻く環境は激変しています。以前のブログ「間違いだらけのサロン集客」【2】でもお話しましたが、マーケティングのトレンドを読み解くキーワードは次の通りです。
●マーケティング1.0‥‥「製品主義」➡大量生産大量消費の時代に威力を発揮。
●マーケティング2.0‥‥「消費者志向」➡市場や顧客ターゲットを絞って市場投入。
●マーケティング3.0‥‥「価値主導」➡社会をよりよくしたい欲求に合致。
●マーケティング4.0‥‥「自己実現」➡輝かしいライフステージを実現したい欲求。
もちろん現代はマーケティング4.0の時代に突入しています。
買い手の発想に立つ
ここで断っておきますが、マーケティングを貫く基本的な考え方は、「売り手の発想」ではなく、「買い手の発想」だということです。
その買い手の発想がマーケティング4.0の「自己実現」にトレンドシフトしてしまったということなのですね。
この辺の認識をしっかり持っていないと、とんでもないことになるわけです。
事実、美容業界は“とんでもないこと”になっています。そこに人口減少とサロン間競争の激烈さが加わって、ほとんどのサロンがレッドオーシャンの海におぼれかかっている瀕死の状態です。
美容室の店舗数は伸びているのに、1店舗あたりの売上は減少している結果、美容室市場が縮小するスパイラルに陥っています。
[1] 自己実現欲求をいかに満たすか?
こんな状態に誰がした?って、それはほかでもない経営者である「あなた自身」です。
なぜなら、マーケティングに一切関心がないから。
マーケティングの勉強をまったくしていないから。
繰り返します。マーケティングを貫く基本的な考え方は、売り手の発想ではなく、「買い手の発想」です。
買い手の発想は今、マーケティング4.0「自己実現」にあるのです。
すなわち、「輝かしいライフステージを実現したい欲求」なのです。もっとも自己実現ですから、自分らしく、自分がもっと輝くライフステージを送りたいという欲求をかかえているのが、現在のお客様であるということなのです。
そんなお客様の欲求を美容室に置き換えてわかりやすく言えば、「もっともっと自分は輝きたいの、輝かしい人生を送りたいの。そのために、あなたはプロとして何ができるの?」
そういう問いかけを美容師さん1人ひとりにしているってことです。
もちろん全部が全部そうなのだとは言いません。本当の欲求はそうだとしても、経済的な事情が許さない場合もあるでしょう。環境的に許されない場合もあるでしょう。それはさておくとして、消費者の欲求は明らかに自己実現へとシフトしていっている。これは押さえておかなければいけない大事なことです。
[2] だからメニュー表って意味をなさない
ですからね、メニュー表って意味をなさないんじゃありません? すでにオワコンでしょう?
突拍子もないことを言っているのではありませんよ。買い手目線から言えば、メニュー表ってこれほど違和感のあるものはありませんから。
通常のカウンセリングはこういう感じでしょうか。「今日はどうしましょうか」「カットがご希望ですか。どんなカンジに仕上げましょうか」「カット&カラーですと今ではお得料金で〇〇円引きの〇〇〇〇円になります」
これが自己実現の欲求を持つお客様に対応するカウンセリングでしょうか。そこにセットで付いてくるメニュー表。
だから顧客満足を得られずに、唯一の説得材料である割引クーポンで訴えるしかなくなるのです。
[3] 予約の取り方も変える
もう一度言います、お客様は「もっともっと自分は輝きたいの、輝かしい人生を送りたいの。そのために、あなたはプロとして何ができるの?」と訴えているのです。だとしたら、その訴えをいかに聞き入れてヘアスタイルとして落とし込むか。そこにプロとしての力量が発揮されるわけで、なにもカットやカラーを提供することが美容師の役目ではないのです。あくまでもカットやカラーといったメニューはお客様の自己実現欲求を満たすための手段に過ぎないのです。
そこにこそ、美容室最大の価値があるのです。お客様の自己実現欲求を満たすことのできる美容師、美容室であれば、深い感動レベルの顧客満足が得られ、価格勝負というレッドオーシャンとは無縁のブルーオーシャンの海を泳ぐことができます。
できない理由をあれこれとあげつらいますか? そうやって買い手の発想から逃げますか? いいです、選択するのはあなた自身ですから。
メニュー表はあくまでもお客様の自己実現欲求をかなえるための手段に過ぎません。
としたら、メニュー表って要らなくないですか? 参考程度に表示すれば十分じゃないですか? カットがご希望ですか? トリートメントがご希望ですか? なんて、予約の取り方も変えなくてはいけませんよね。
あなたの最も不幸な顧客が、あなたの最大の教師です。
(ビル・ゲイツ)