経営者のやることは多岐にわたります。
以前の当ブログで「[どんだけ~!]な経営者」でも述べましたが、処理すべき仕事の山と決断の連続です。
そこで自分のことをわかってくれて、処理すべき仕事を振っても大丈夫な人、そして経営者の孤独を分かち合える人として「右腕」を経営者は欲するものです。
事実、当業界にも、その名も“右腕を養成する塾”なるものもあるようです。
でも、はっきり言って「右腕」にはこだわるなと言いたいのです。
なぜか?
「右腕」は育てるものではなく、自然に育ってくるものだからです。
まして、事前に指名するものでもありません。
育ててはいけないその理由
お前が右腕だと指名したときから、指名されなかった人から「なぜあの人が‥」「自分じゃないのか‥」といった疑問がわき上がってきます。
そういう疑問をかかえたまま、「右腕」の下のレイヤーにつく幹部はおもしろいはずがありません。
「右腕」と指名したときから組織はぎくしゃくしてくるのです。
だから「右腕」とは育てるものではなく、自然に育ってくるもの。
だからといって自然発生的に育ってくるものではありません。
そうなる環境を作ることです。
その環境とは「トップマネジメント・チーム」を作ることなのです。
トップマネジメント・チームがなぜ必要なのか、トップマネジメント・チームの作り方については「なぜ組織は大きく変われないのか?」で説明しましたのでここでは繰り返しません。
チームを作り何度かミーティングを重ねていくうちに、リーダーシップを発揮する人が必ず出てきます。異なる意見を整理しまとめ上げ、一定の結論へと導く人。
それこそまさに人格が備わった人で「右腕」に相応しい人なのです。
誰も文句は言いません。
みんなが認めるリーダーだからです。
「右腕」は人格がつくる
ドラッカーはこう言っています。
「一人の力で成功することは絶対にない。
一人の力が他人の協力を得たとき初めて事業は成功する。
そして、協力が得られるのは鋭さでなく、
人格の力である。」
「右腕」は育てるものではなく、育つもの。
人格のある人が無理なく自然に輩出してくるのです。
その環境を作るのがトップマネジメント・チームなのです。
この順番を間違えてはいけません。
「徳は孤(こ)ならず。必ず隣(となり)あり。」
―徳のある人は孤立しない。必ず(徳を慕って)親しい人たちがあつまってくるものだ。
(論語)