新型コロナウイルスの感染拡大で世界的な株安の連鎖に歯止めがかかりません。ニューヨーク市場の株式の暴落に続き、日経平均株価も大幅に下落し、底無しの様相を呈しています。
中国などアジアが中心の新型コロナ感染が中東や欧米に広がり、WHO(世界保健機関)は11日、とうとう「パンデミック」と表明しました。
感染を封じ込めようと世界各国が入国制限やイベントの自粛要請などを打ち出し、経済活動が委縮・収縮状態に置かれています。
姿ばかりか収束の見えない新型コロナ感染の先行きに企業も怯え、大手企業における新卒者の内定取り消し、非正規雇用のクビ切りが行われています。(4月の入社は目前なのに、この時期に内定取り消しはあまりにも酷ですね)
アメリカで有数といわれるシンクタンクが、日本の死亡者の想定を、最善で13万人、最悪で57万人というシナリオを発表しましたが、衝撃的すぎます。
とにかくこういう事態にまで進んでしまうと、新型コロナ感染に対する対策は第2フェーズに突入したと考えるのが妥当でしょう。
第2フェーズでの美容室で行うべき対策があります。
2つあります。いずれも「緊急」の対策を要します。
感染予防から感染後の対策へ
1つは、もちろん感染予防のためのマスク着用、アルコール消毒の徹底は感染予防対策として継続してやらなければいけませんが、同時に、感染が発覚した場合を想定しての対策です。
事実、新潟の美容室で感染者が立ち寄ったことが判明、名古屋の美容室も感染者の立ち寄り先の経路となり、とうとう京都の理容室の例では店主が感染してしまったことが報じられています。
こうなったら、感染者の立ち寄りやスタッフの感染は時間の問題だと考えたほうがいいです。
その場合、保健所の立ち入り検査、指導があります。それだけで風評被害が発生しますが、そうなることを想定のうえ、自店ホームページでの告知をして現状を正直に伝えること。隠しだてをすると、かえって事実より拡大して悪評が起こります。二度と営業ができないくらいにダメージを受けてしまいかねません。これが風評被害の風評被害たるゆえんですが、そうならないためにも事実をありのまま伝えること。
そして、事後措置としてどのようなことを実施しているのか、あるいはしたのかを報告する。
さらに、これが大事なことですが、このように二度と同じ事態を引き起こさないために、これこれの対策(従業員の健康管理の徹底と感染症予防のできるだけ細かい対策)を徹底していること、お客様にも手指のアルコール消毒をお願いすること、咳や発熱の症状がある場合は入店をお断りすること、など告知するのです。
なかでも上位客の離脱が一番ダメージをこうむりますから、一客ごとにDMを書いて、このような徹底した事後策を講じていることを訴えた文章をしたためて発送すること。
感染したお客様が来店したとしても、以上のような措置を迅速に実行すれば、保健所の指導で検査、隔離され、やむを得ず休業する必要が生じたとしても、休業後の再開は迅速にできます。
不幸にも感染したスタッフが出た場合、そのスタッフの入院、他のスタッフの検査隔離の必要がありますから、その場合は行政の指示に従ってある期間の休業はやむを得ない措置となりますが、一日も早い営業再開に向けて以上の準備は必要なのです。
これらの、最悪の事態を想定して事前シミュレーションをして準備をしておくこと。なぜなら、危機的状況に陥ったときにこそ、危機を乗り越えるか乗り越えられないかでその後の命運が決してしまうからです。
キャッシュの緊急準備を
2つめの対策です。
客数が激減すれば売上が立たず、途端に資金繰りに窮します。上に述べたように、スタッフの感染や感染したお客様の来店があれば、一定期間、休業を余儀なくされる場合があります。そのぶんの失われた売上金をどうするか?
お金が用意できなければ、給料も材料費も家賃も水道光熱費も払えません。つまり、倒産です。
今までは手元流動性資金(現金またはすぐに現金化できる資金)は月商の1カ月分もあれば大丈夫だったのですが、この緊急時には、できれば月商の2カ月分は確保してほしいのです。月の売上が300万円なら600万円、1000万円なら2000万円です。
そこで遅ればせながら政府の緊急融資が用意されましたね。
会社をつぶしてはなりません。
この際です、使えるものはなんでも使いましょう。
政府の新型コロナウイルス第2弾で、無利子・無担保の融資制度ができました。中小企業支援「セーフティネット保証」5号に316業種追加で理容業・美容業も対象になりました。これは別枠での融資ですから、それまでは借り過ぎてしまっているなど心配になることは一応不要でしょう。
※セーフティネット5号の指定対象業種
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2020/200313_5gou.pdf
セーフティネット4号は、売上高が前年同期比20%以上の減少という、多少厳しい条件が付いていましたが、5号は、特に重大な影響が生じている業種として、それまでの40業種から316業種に対象を拡大し、売上高が前年同期比で、こちらは5%以上減少という、ゆるい条件です。
セーフティネットの利用手続きは4号、5号とも同じ。
①自社の本店等(個人事業主は主たる事業所)所在地の市区町村に認定申請を行う。
②希望の金融機関または最寄りの信用保証協会に認定書を持参し、保証付き融資を申し込む(事前相談も可)
※利用には別途、金融機関、信用保証協会による審査がある。
※保証制度の詳細については、最寄りの信用保証協会まで問い合わせる。
※参考までに東京都目黒区の申請書、そのヒナ型を示します。
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/shigoto/enjo/saftynet5.files/I-1.pdf
ある経営者から相談を受けました。新卒者を採用しても売上が立たず給料が払えない、どうしたらいいかと。
そこでこのセーフティネットの件を伝えたところ、すぐに申請に行くと張り切っていました。その後の結果が楽しみです。
以上、新型コロナウイルス感染対策は、それまでの予防対策の段階から進展して第2フェーズに突入、そこで新しい段階での対策を述べてみました。
いずれにしろ急を要することです。まずはセーフティネットの件で市区町村の窓口に問い合わせてみてください。
特にセーフティネットの借入は申請者が多く、場所によっては一日がかりの申請となりそうです。申請受付から融資申し込み、そして融資実行まで、また時間がかかります。もう少し早い対応をと、後手後手に対策を打ち出す政府に意見したいですが、今更仕方ありません。(手続きはしたものの融資実行前に倒産してしまったのでは不条理すぎますよね!)
何度も本ブログで述べましたが、消費税増税の影響が直撃した昨年の10月~12月期はGDPの確定値で年率換算-7.1%(速報値では-6.3%)というとんでもない落ち込みに加えて、年初からの新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけています。このままでは今年の1月~3月期はGDPのマイナス幅は2ケタになるのは必至で、恐慌の前夜といった感があります。早急で力強い景気浮揚策が望まれるところです。
そんな危機感からでしょう、自民党の若手議員有志48名が西村康稔経済再生担当大臣へ「経済再生への提言」を届けました。その内容は、消費税ゼロ、30兆円規模の補正予算案の要求でした。
そう、そのくらいの思い切った政治判断をしない限り、今の難局は乗り切ることができないと思います。
後手後手の政府の政策に待ってはいられません。
経営者は会社を守り、従業員を守り、お客様を守る責務があります。だから早い行動が望まれるのです。
緊急時には迅速な行動こそ危機を乗り切る最善の方法です。
ある者は明日に、
他の者は来月に、
さらに他の者は十年先に
希望をかけている。
誰一人として、
今日に生きようとする者がいない。
(ルソー)