今回のコロナ禍で、ILO(国際労働機関)は、世界で失業者が2500万人出ると警告しました。先のリーマンショック時では2200万人の失業者が出て、それよりも多いということですから、とんでもない事態だということです。
そして、リーマンショックではサービス業がその雇用の受け皿になって雇用を吸収していました。ところが、今回はそのサービス業が真っ先に影響を受け、雇用の受け皿にはなりません。
もはや「戦争」である
さっそくアメリカが動きました。トランプ大統領は2兆ドルの財政出動をして、中小企業を中心にした、倒産と倒産が引き起こす大量失業を食い止めようということです。
2兆ドルは日本円で220兆円です。アメリカのGDPの10%に充当する巨額な財政出動です。
いや、アメリカばかりではありません、イギリスもドイツもGDPの10%に相当する思い切った財政出動をするということです。とくにイギリスでは、従業員を解雇しない企業には給与の8割を政府が保障するというものです。
倒産回避と失業防止のため、本気ですね。
「緊急事態」とみなすのは、
- 戦争
- 大恐慌
- 戦後の復興
のときだそうです。米欧諸国はこの事態を「戦争」とみなしているわけですね。ひょっとすると「大恐慌」もあわせて視野に入れているのかもしれません。
いや、きっとそうでしょうね。
日本の財政出動のしょぼさ
それにひきかえ日本です。財政出動はGDPの5%程度の30兆円。しかし実質(真水部分)は半分の15兆円に落ち着きそうです。
どうしようもないしょぼさです。
その多くが、緊急の中小企業救済のためのセーフティネット融資です。そう、あくまでも融資です。たとえ中小企業が一時的には資金繰りができたとしても、返済の責め苦が待ち受けています。コロナ禍がいつ終息するかわからないというのに。
さらに麻生副総理兼財務大臣は「現金給付よりも商品券で」と言っています。
はぁ? なに寝ぼけたことを言っているんだと。会社は潰れ、職を失くした人に、商品を買えだって? そんな余裕がどこにある!?
庶民の生活実態を知らないお坊ちゃん議員で私大出の安倍、麻生なんて、東大出のエリート財務官僚には御しやすい相手でしょう。「財源はどこにあるんだ?」と恫喝されれば委縮するだけです。
この国のトップにしてこの国民あり、です。
三連休は自粛どこ吹く風で街に繰り出し、行楽に出かけ、遊園地も開園。再三の自粛要請にもかかわらず格闘技の世界大会を強行までしてしまいました。
もう、平和ボケ、危機管理能力の欠けたノー天気ぶりです。こんなタガが緩んでいるようでは一気に感染が拡大すると心配になるのは私だけでしょうか。
私は思いますよ、パンデミック終息までの期限付きで消費税の廃止、国民には1人当たり10万円以上の現金支給という、前例にない、思い切った政策を打たなければ日本は沈没してしまうと。
なぜなら、今は「戦争」という非常時だからです。
この辺の認識がまったく欠けています。
経済政策の格言があります。
「経済政策の失敗は多くの国民を殺す」と。このままじゃ多くの企業倒産に伴う経営者と失業者の自殺者が激増します。断言していいです。
東京商工リサーチも、今回のコロナ禍で、1万件を超える企業倒産を予測しました。1万では甘い数字でしょう。
コロナ禍の終息は1年~2年かかる?
問題はこのように大きく根が深いのですが、ビジネスをやっている以上、私たちにとって喫緊の課題は、「コロナ禍での生き残り」です。
それは、いつこのコロナ禍が終息するのかにかかってきます。終息させるには、BBCでは以下のような方法があると報じています。
【1】ワクチンの開発
【2】集団免疫の形成
【3】自分たちの行動や社会のあり方を恒久的に変える
まず【1】のワクチンが開発され投与されるまでには、最短で1年~1年半はかかると言われています。
【2】は、相当数の人が感染して免疫をつけるというものですが、こうなるまでには2年はかかるし、その間に医療崩壊を起こしかねず、現実的な方法ではないと思います。
いずれにしても、何らかの形で終息するまでには、最低1年以上かかるというわけです。夏ごろには終息するだろうといった報道もありましたが、根拠のない甘い希望だとわかりました。
ここで注目すべき発言をしたのは小池東京都知事です。「首都封鎖もあり得る」と。
やっと政治家の中から現実を直視した厳しい意見が出てきました。気がつけば東京は北海道を抜いて感染者数全国1位に。感染者数は急角度で上昇を続けています。
それはそうです。表面的には日本は感染者の数が少ないと言ったって、PCR検査を受ける敷居が今まで高かったからに過ぎません。保険適用となって検査数が増えれば、爆発的に感染者の数が増えます。
そうなったら医療崩壊、非常事態宣言発令で本当に首都封鎖、店舗は軒並み営業停止になりかねません。
東京ばかりではありません。大阪も、神戸も、名古屋もそうなる可能性は限りなくありますから。
新型コロナ感染の終息は1年~2年の間には、県ごとの封鎖、各都市の封鎖という危険性があるっていうことです。
東京オリンピックは1年先に延期になるらしいですが、1年先でも開催されるかどうか不明です。
そして、店舗の営業停止となれば、もとよりリモートワークなんてできない理美容業は途端に機能しなくなります。そして、資金繰りがつかなくなって必然的につぶれてしまいます。抜本的な対策なんてあるはずがありません。
パラダイムシフトが起こる
救いようのない話になってしまいましたが、緊急時の議員立法で、出張サービスとして各家庭に出かけて行って施術を行うことを認めること。従来の訪問理美容の拡張です。
では、訪問先の各家庭で感染対策は大丈夫なのかという新たな問題が発生します。クライアントの体温チェックはもちろんのこと、十分な対策をお願いしたいとしか言いようがありません。
出口の見えない結論になってしまいますが、ここで、上に挙げたBBCのコロナ禍を終息させる最後の方法です。【3】「自分たちの行動や社会のあり方を恒久的に変える」ということ。私はここに最大のヒントがあるような気がしてならないのです。
「自分たちの行動や社会のあり方を恒久的に変える」ことをビジネスで考え直せば、今までの商売の考え方ややり方、価値観を変えるということです。「恒久的」というのは永遠に変えるということ。今回のことがきっかけになって、ガラリと理美容のビジネスのシーンが変わってしまう。
時代はパラダイムシフトという大転換を求めているという気がしてならないのですね。
パラダイムシフトとは、「その時代や業界において、当然のことと考えられていた認識や考え方、社会全体の価値観などが、革命的に、あるいは劇的に変化すること」を言います。「180度変えてしまう」と。
とうとうそのときが、コロナ禍をきっかけにしてやってきたのかと。
なぜなら、人類が生存できるかできないかの瀬戸際だからです。
そんな気がしてなりません。
どういうことなのか、詳しく知りたい‥‥。
パラダイムシフトが起こって、どうやって理美容室は生き残っていけるのか。それにはみずからパラダイムシフトを起こさなければなりません。
では、どうやって?
そのために、とても重要な示唆に富んだお話をしようと思います。私など力量不足ですが、何十年も温めてきたテーマです。緊張で胸が高鳴ります。
でも、内容が内容だけに、とても今回で書ききれるものではありません。次回で詳しくお話しようと思います。ご期待ください。
いつかは人間に飛ぶことを教えてくれるものがくる。
そのとき、すべての境界石が動く。
彼によって、すべての境界石は宙に浮き、
意味を失うだろう。
(ニーチェ)