パラダイムシフトです。
そう、自らパラダイムシフトを起こさなければ生き残ってはいけない。そんな内容です。
理由が知りたければ、前回の投稿「コロナ禍によってあなたのビジネスは大激変する!?」をお読みください。
すでにお読みになったという前提で話を続けますね。
と言いましても、ブログの性質上、突っ込んだ話ができません。理由は、読者の方がどの辺まで理解のレベルがあるかわからないということと、そもそもディスカッションしながら個別に対応する内容であるということです。
ですから、お話する内容には限界があると承知のうえでお読みください。
そして、ご質問があればメールにて個別に対応させていただこうと思います。メールアドレスは以下の通りです。
また、当ブログで「コメント」をお寄せいただいても構いません。
5つのキーワード
それでは始めます。
パラダイムシフトを起こすにあたって、キーワードがあります。
以上の5つです。
なにやら難しそうでイヤだな‥‥そう思われる人がほとんどでしょう。仕方ありません、従来の考え方や価値観を180度変えることをパラダイムシフトというのですから、必然的に予定調和の話なんてできません。
ある意味、苦渋を強いる話になるかもしれませんが、それでもいいという人はお付き合いください。
●ストックビジネス
まず【1】「ストックビジネス」について。
ストックビジネスについては再三当ブログで言ってきたので、説明は繰り返しません。とくに理美容室は典型的なフロービジネスですから、来店するかしないかはお客様の意思に100%委ねられます。だから安定しない。
とくに今回のように、パンデミックで爆発的な感染(オーバーシュート)があって、首都封鎖(ロックダウン)となったら、営業は不可能です。
(※リモートワークができる仕事なら、「働き方改革」のイノベーションが可能なのですが。)
そこでストックビジネスの出番なのです。お客様の気分次第、都合優先、お天気次第、そしてこういった非常事態といった不安定さを払拭して安定的な収益が見込めること。
そこで威力を発揮するのが「顧客情報」です。顧客情報の価値は「量×質」です。あなたは何人の顧客数(量)があって、プライバシーにまで及ぶ深い情報(質)を持っていますか?
量と質の掛け算の値が大きければ大きいほど価値を生みます。この顧客情報こそ最大、最強の資産です! 異業種にとっては、喉から手が出るほどの。
この「顧客情報」をもって、異業種とのアライアンスを組めばいいのです。
かつて当ブログでも紹介しましたね。美容室と、あの世界的な大企業のトヨタとアライアンスしてトヨタのクルマ、それもその美容室用にモデルチェンジをして販売したという例を。
この例から学ぶことはたくさんあります。なにせ、あのトヨタも動かすほどの「顧客情報」の威力なのです。トヨタが動いたのですから、他の異業種は動きますよ。それも、女性市場が欲しい業種だったら絶対と言っていいでしょうね。
たとえば、働く女性向け、あるいは主婦限定の生命保険、女性専用ワンルームマンションの不動産、ヨガやフィットネスクラブ、おひとりさま向け資産形成の投資‥‥etc。たくさんあります。
もっと期待値を高くして、CVCという方法もあります。コーポレイト・ベンチャー・キャピタルのことです。事業会社が、本業とのシナジーや新規事業開拓のために別の企業、つまり美容室に投資をすることです。顧客情報を武器にして事業会社(=資金が豊富にある大企業)から投資を受けるのです。投資をする事業会社はプロジェクトチームを立ち上げて物心両面で新規事業を支援します。
その詳細や投資の交渉の方法などは解説する余裕はありませんが、そういう方法もあるのだとだけ覚えておいていただければいいです。
●マーケティング
次に【2】「マーケティング」です。
ストックビジネスに参入する際、マーケティングの素養は必須です。異業種とアライアンスや事業提携、そしてCVCをスムーズに遂行させるためには、このマーケティングの知識がなければなりません。
なによりも「顧客情報」の価値を認識して、自社(自店)と組めば、これだけのメリットがあるのだと自信をもって説明できなければなりません。そのためには、相手先の企業の売上増大・利益増大のイメージを描けなければならず、そのためにはマーケティングの知識が必須なのです。
●アート&デザイン思考
【3】「アート&デザイン思考」です。
私などは大前研一さんに1年間、徹底的にロジカル思考を鍛えられたおかげで、戦略的なロジカル思考が身についてしまっています。
ところが私の他に、とくに戦略的な思考を持つ人は、ロジカルな理論の組み立てをしますから、似たり寄ったりの結論に終始してしまいます。日本の企業でビジネスエリートと言われる人の思考は大抵がこのロジカル思考の持ち主で、だからきわだったイノベーションが長い間にわたって生まれてきていないのだと思います。
今は「VUCA」と言われる時代です。(詳しくは「VUCA時代の正しい意思決定」をお読みください)不安定(V)で不確実(U)、複雑(C)で曖昧(A)な時代です。今回のコロナ禍なんてまったくそうですよね。想定外の何が起こるかわからず、不安定で、まったく先が見通せない、まさにVUCAの時代を象徴する出来事です。
新たな事業を起こすにも、戦略的に考えてプランニングして、PDCAを回すなんてやっていたら、事業機会を失うばかりか、事業そのものが市場に必要とされていないピント外れのもの、なんてことになりかねません。
その場合、有効なのが、理論を超えた感性やひらめきです。
そこでモノを言うのが「アート&デザイン思考」なのです。
そして、その場合の行動スタイルとして、「これ、いけるんじゃないか!」とひらめいたら、とにかく行動をしてみる。行動しながら修正していくという、フットワークの軽さが求められます。だから、あまり資金をかけない。いつでも撤退できるような少ない資金で始めることです。典型的な成功例が、スティーブ・ジョブズのアップルです。ロジカル思考では、あんな革命的な事業のアイデアはひらめきません。
「アート&デザイン思考」の入門書としてお勧めなのが、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」』(山口周著、光文社新書)です。(※画像をクリックすると詳細ページに飛べます。)
●ティール組織
【4】「ティール組織」です。
これは従来の上意下達(じょういかたつ:トップダウン)の指示命令のコミュニケーションからなる組織ではなく、従業員がポジションを超えて率先して発案し、行動し、責任を取るという、フラットなコミュニケーションを取る組織のことです。そこには社長を頂点とした組織の階層構造は存在しません。
私たちの暮らしている資本主義社会は、科学の発達を味方にして、私たちに自由と繁栄をもたらしました。企業はニーズを創り出そうと、人が本当に必要としない幻想までも供給し続けます。もっと所有したい、もっと金持ちになりたい、もっと若々しい身体を、とそれが人の幸せのすべてだと訴えるのです。
すでに「欲望のための欲望」「欲望の拡大再生産」まで達しています。その結果、世界の天然資源を減少させ、略奪経済となり、経済的格差を生み、人類が生き残るための生態系を破壊しつくすまでになってしまいました。
また、組織は「成功」という、お金と名誉と地位に限定されてしまった価値を追求し、各部門の責任者は、目標ごとの経営方針に従って、たとえば戦略的計画、年間予算、主要業績指標KPI、バランススコアカード、業績評価、ボーナス還元という指標を打ち立てて、実現するよう従業員にハッパをかけます。
もう、一杯いっぱいです。これってなんの意味があるだろう、こんなやり方をしていていいのだろうか、と疑問に思う従業員がたくさん出てきて、モチベーションは萎(な)え、組織の活力が失われていきます。よくある「笛吹けど踊らず」状態です。こういう理美容室の組織がいかに多いか。
ティール組織は、そんな組織の弊害をなくし、働く従業員こそ組織の、人生の、主人公であるという自覚と権限を持たせることができ、その結果、従業員同士が真にリスペクトし合う「共働意識」として働きます。
だから、おのずとモチベーションは高くなり、生産性が飛躍的に上がるのです。ティール組織(進化型)と言われるゆえんですね。
たとえば、新規事業を創出する際に、職務の階層を超えて、若い社員からとんでもない発想の意見が飛び出すことはおおいにあります。そういう意見を生かし、事業化へとブレイクダウンするのです。
このティール組織について詳しいことがお知りになりたい方は、『[イラスト解説]ティール組織』(フレデリック・ラルー著、技術評論社)がわかりやすくてお勧めです。
●縄文
最後の【5】「縄文」です。
縄文研究は私のライフワークみたいなものです。縄文が今、ブームのようですが、私はにわか縄文ファンではなく、筋金入りの在野の縄文研究家を任じています。
縄文時代とは、今からおよそ2000年前から、さらにさかのぼること1万年以上という長きにわたって日本列島に存在した時代のことです。縄文土器や土偶など、世界に誇れる独特の造形文化を形成しました。
その時代を生きた縄文人の世界観・宗教観は、端的に言えば、万物と共にある、大宇宙、自然と一体としての生を営んでいることにありました。
狩猟採集がその生活スタイルで、動植物など自然の恩恵を受けて生きる。だから、人間が万物の主人公ではけっしてなく、万物に属する類のひとつに過ぎず、必要以上の収穫はしませんでした。獲物としての動物は先祖の化身とみなし、肉も骨もひとつも無駄にせず、先祖の霊をうやまいながら身に移し、骨は生活の道具や祭祀のために使ったのです。
一部落の中に階層組織は生まれません。所有の概念も生まれません。すべては平等ですから貧富の差なんて存在しようがありません。
その縄文時代は1万年以上も続いたのです。それだけ自然との共存がうまくいき、組織に働く力学に綻びがなかったという証明です。
ところが、たったの2000年、縄文時代からくらべたら5分の1程度の時代しかたっていないのにもかかわらず、地球環境を取り返しのつかないほど破壊し、めぐりめぐって人間の存続さえ危ぶまれるようにしてしまったのです。
今こそ謙虚に、縄文に学ぼう!なのです。
縄文のことを述べ出したらキリがないので、このへんでやめますが、この縄文の世界観・宗教観、そして組織構造こそが、上に挙げた「ティール組織」の原型でありますし、「アート&デザイン思考」の根底にあります。
以上、パラダイムシフトを起こす際のキーワードの5つを紹介しました。
たぶん読者のみなさんは消化不良だと思います。ぜひ、もっと詳しく知りたいという方は、本欄で紹介した本をお読みください。ご自分でああでもない、こうでもないと、思考をめぐらせることで、今までの思考の枠組みを取り外すことができます。
思考の枠組み(フレームワーク)を取り外すことこそが、パラダイムシフトを生む欠かせない要素です。
もちろん、私に対する質問もしてください。大歓迎です。一緒に輝かしい未来を想像してワクワクしましょう!!
あなたの事業のコアはなにか?
そして、もうひとつ。大事なことがあります。
やがてコロナ禍は終息します。終息まで持ちこたえることができたならば、今一度、自身のビジネスのコアとはなんなのか、自問自答して見つけてください。
だってそうですよね、こんな非常事態にもかかわらずお客様は来てくださった。おかげでお店は存続できた。新型コロナウイルスとの戦争に打ち勝った素晴らしいお店なのです。
その存続へと導いた事業のコア(核・中心)はなんだったのか? それを見つけて、さらにブラッシュアップして、他の店に負けない「強み」として深堀することなのです。
そうすれば、何があっても生き残っていけます。
世界を変えられるって本気で思いこめるのなら、
本当に世界を変えられるんだよ。
そんなバカなことはできない。
誰もが思うことならば、
競争相手はほとんどいない。
(ラリー・ペイジ)