緊急事態宣言の延長は約1カ月延長され、5月31日までとなりました。
これ以上の延長は、経済活動の死を招き、同時に自殺者の数を増加させます。
もちろん、休業補償がなされればそんなことにはなりませんが、政府の「これ以上はカネ出さねぇ~」といった緊縮財政の姿勢がありますから、たとえば企業に対する粗利益分の補てんなんてできないでしょう。せいぜい緊急融資枠の拡大や助成金、協力金の拡充でお茶を濁す程度です。それも非難の声が上がってしぶしぶです。
私は思うんですよ、今回のしみったれた政策予算と実行の遅さは、まともに法人税も払えないような会社はさっさと市場から撤退してくれと。そんな政府と行政のホンネを感じるんですね。
それはともかく、この間にわが国経済にどういうことが起こったのか、また起こりつつあるのか、情報共有したいと思います。
壊滅的影響をこうむる経済
まずコロナ騒動が表面化する前の悪評高い消費税の増税があります。これが国が最初に打ち込んだボディブローで、コロナ禍ばかりが注目されて忘れ去られようとしていますが、諸悪の根源はこの消費増税にあることを忘れてはなりません。
この消費税10%に増税したことによって、GDPは年率換算で7.1%も失われたのです。ほとんどが消費者の買い控えと、それを見込んだ企業の設備投資減です。
そして年明けの2月からコロナ禍の表立った影響が出てきました。まだ1~3月期のGDPの発表は政府からなされていませんが、民間のエコノミストの予測では5.3%の減少、4~6月期は21.8%の減少と、とんでもない予測がなされています。ゴールドマンサックスにいたっては、緊急事態の延長を織り込んで25%の減少と予測しています。
上場企業の1~3月期は、全産業の純利益は67%減少(製造業59.3%、非製造業76.7%減少)です。さらに4~6月期は悪化することは目に見えています。
大手百貨店では4月期、売上は70~80%減となりましたが、宣言が延長されれば休業の延長でさらに減少することは明らかです。なかには売上ゼロの恐怖におびえるところも。
航空会社は、ANA、JALとも4月の予約状況は、国際線で8割減、国内線で6割減。運航数でも、国際線で9割、国内線で2割の減便を強いられました。両者とも緊急融資に頼るしか営業を維持できません。世界の航空会社はこのままでは5月末で大半が破綻すると予測されています。
鉄道会社はどうでしょうか。緊急事態宣言後に特に乗車率の落ち込みが激しく、新幹線では山陽で85%減、北陸88%減、東海85%減となっています。
通勤電車では東京メトロや東急電鉄で6割減、近畿圏の在来線も6割減という状況になっています。
その他、影響が甚大なホテル旅館業、飲食業など目を覆うばかりの惨状です。
私たちの理美容業界でも事情は同じで、売上3割減はいいほうで、5割減が普通、なかには8~9割減というサロンも見受けられます。
あのトヨタでさえ、1兆円の融資枠を銀行に設けた(コミットメントライン)というニュースが衝撃を与えましたが、内部留保が豊潤にあるにもかかわらず、関連会社の資金繰りを援助するために現金を豊富に用意する必要に迫られたのです。
こうなると、リーマンショック時や東日本大震災時を超え、100年前の1929年に起こった世界恐慌に匹敵する事態だというのも、誇張でもなんでもありませんね。大企業も中小零細も個人事業も関係ありません、バタバタ潰れてしまいます。
大量失業を予測
以上は、産業界の動向を見てみましたが、今度は雇用への影響です。
第一生命経済研究所は、失業者は77万人になると予測。同時に、1カ月の宣言延長で個人消費の減少額は13.9兆円になり、GDPを27.8兆円縮小させると予測しました。私はこの予測さえ甘いと思っています。
失業者77万人ということは、全就業者数6400万人を分母とすれば1.19%の失業率に当たるわけで、過去のデータから、失業率が1%増えれば自殺者は2000~2500人増えるという推測が成り立ちます。
さらに過去のデータから、失業率の上昇と改善は20年間を要し、この間に失業率の急激な上昇のピークを迎え、緩やかに回復するという傾向があるそうですから、この1、2年間から5年間で失業率が急激に増え、それに同期して自殺者の数がうなぎのぼりに増えていくことは間違いのないことです。
明らかに、これ以上の緊急宣言の延長は、外出自粛の延長であり、休業要請の延長ですから、経済活動の実質的停止であり、経済活動の「死」を意味します。
それにもかかわらず延長するということは、コロナの感染拡大をストップし、死亡者を出さない、それも緊急に終息させるという考え方に基づいているのでしょうか。
ところが、これ以上の経済の死は、過去の例から、コロナの感染死の数よりも自殺者の数のほうが多くなることを意味しています。
宣言を延長する理由がない
私は疫病や感染についての専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、緊急事態宣言の後押しをするといわれる専門家会議でさえ、こういうデータを発表しています。
「実効再生産数」というものです。これは、1人の感染者が何人の人に感染させるかという数値で、日本全国で3月25日時点がそのピークで2.0でした。ところが4月10日時点では0.7に下がっているのです。
東京都単独でも、3月14日時点がピークで、同じく4月10日の時点では0.5%にまで下がっているのですね。
この数値、1以上は感染拡大、1以下は縮小に向かっていて、WHOでも欧米諸国でも、行動制限を緩和する目安とされているということです。
つまり全国で実効再生産数が0.7、東京においても0.5に縮小しているということは、一律の宣言延長は実効性に疑問符がつくわけです。それよりも、大量倒産、大量失業、大量自殺者をいたずらに生み出すだけで、非常に悪い政策だと言えると思います。
即刻、宣言事態を取りやめて、一応慎重を期して段階的に経済活動を再開するべきです。
インフルよりも被害は軽微
別の面から言ってみたい。
人口100万人当たりの新型コロナ感染での死亡者数は、日本は4.3人と極端に少ない(世界第80位)。これは緊急事態宣言の効果などではなく、ロックダウンという日本よりも厳しい処置をした欧米諸国よりも圧倒的に少ないことを見ても明らかです。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html?kw=japan
これはBCG接種のおかげであるとする説がまことしやかに言われていますが、私には因果関係がわかりません。
そして、こういうデータもあります。
日本人の死亡原因です。割合の数値はグラフのとおり(厚労省)ですが、数で置き換えてみますと、1位:ガン=37万人、2位:心疾患=20万人、3位:老衰=10万人、4位:脳血管疾患(脳卒中)=10万人 (*1万人以下切り捨て)
ちなみに昨年度のインフルエンザの感染者数は1000万人、死亡者は1万人でした。
新型コロナでの感染者は1万4544人で死亡者は458人です(5月2日現在)ですから、インフルエンザよりも脅威は少ないと見るのが妥当な判断だと思うのですね。バカでもない限り。
感染防止の徹底で営業は続けるべきだ
以上は、私情がまったく入らない合理的・客観的なデータです。そして、それらのデータから判断しての私の意見です。
ですから打つべき手は、コロナとの長期戦を想定のうえで、段階的に経済活動を復活させることだと思うのですが、どうですか。
これ以上の宣言延期は百害あって一利なしと思うのは私だけでしょうか。
ただし、新型コロナのいろいろなエビデンスがそろってきたなかで、これだけの対策は必要です。
- 三密は避ける
- 高齢者(70歳以上)、基礎疾患ある人、妊婦の防護体制をする
- 院内感染(これが最も多い事例)の防疫態勢をする
- うがい、手洗い、換気・空調、マスク着用の徹底
とくに理美容室は「院内感染」以外の対策をさらに徹底継続して営業すること。休業していても一日も早く営業を再開すること。強くお勧めしたいですね。
今回の宣言延長といい、マスコミのコロナ禍での煽り報道といい、なんらかの作意が働いているとしか思えないのですが、これも私の思い過ごしでしょうか。
以上のような客観的データを掲げてアピールし、休業しているところは一日も早い営業再開を。コロナに負けるというよりも、コロナ禍での一連の政策やマスコミの煽り報道に負けてはいられませんね!
日本国のトップがこの体たらくですから、あなたは経営者(トップリーダー)として、以下に掲げた『論語』の精神で、社員やお客様に対してリーダーシップを発揮していただきたいと願うばかりです。
民は之(これ)に由(よ)らしむ可(べ)し、
之を知らしむ可からず。」
(論語)
―民衆には詳細な情報まで知らせるのは難しいし、まして知らせることによっていたずらに不安を煽り立てるようなことがあってはならない。だから、リーダーたるもの、頼りにしてもらうべく信頼を得ることが大事なのだ。―