大手弁護士法人の闇
大手弁護士法人(東京ミネルヴァ)が破産しました。弁護士法人でも破産するのかと正直驚いたのですが、もっと驚いたのがその負債額です。
51億円。
弁護士法人では過去最大の倒産です。過払い金利の返還で、依頼者に支払われるべき過払い金が弁護士法人を実質的に支配していた会社に中抜きにされていたというものです。その金額が、少なく見積もっても30億円とか。
この30億円が負債の多くを占めていることで、負債額の多さに納得します。
これ自体、刑事責任を問われるほどの大問題なのですが、それ以上の超ド級の大きな問題は、「中抜き」は一民間企業だけのレベルに留まらないということです。
今回のコロナ騒動で緊急に設けられた国の予算。その給付金事業でも中抜きが行われていたという事実。国に癒着した民間企業の実態があぶり出されたわけで、大切な私たちの税金が一部の民間企業に中抜きにされた、しかも業務らしい業務をせずに中抜きをして、下請けに丸投げしたという事実は、あってはならないことで、こちらも犯罪に等しい行為だと思います。
まず「持続化給付金」。サービスデザイン推進協議会なる実態のわからないところが経産省から事務業務を委託されて、20億円の中抜きをして749億円で電通に再委託。電通はここから104億円を中抜きしてパソナやトランス・コスモスへ再々委託。パソナやトランス・コスモスは中抜きをしてさらに下請けに再々々委託。委託するたびに中抜きが横行して支給金額がやせ細ります。
次に、やっと補正予算が成立した「家賃支援給付金」。さすがに批判の多かったサービスデザイン推進協議会は経由せずに直接リクルートに事務作業は発注されました。
驚いたことにその受注金額は942億円! そして中抜きはここでも横行していて、リクルートは数社の下請け業者に中抜きをして再委託しています。
リクルートといえば、若い人は知らないと思いますが、政界、官界を揺るがす大スキャンダルを引き起こした会社です。政界や官界に人脈ルートを作るのを目的に未上場株のリクルートコスモス株を政界の重鎮である政治家や官僚90人に譲渡していた事件です(リクルート事件:1988年)贈賄側のリクルート関係者と収賄側の政治家や官僚が逮捕されました。このスキャンダルで時の内閣の支持率は急落、解散に追い込まれました。
まぁ、リクルートにはそんな黒い歴史があるのですが、そんな黒歴史のおかげで政界や官界のルートは出来上がり、今回の業務受託へと結び付いているのですね。
そんな背景を持つリクルート。同社がやっているホットペッパービューティー。ホットペッパービューティーに踊らされる美容業界。まったくアホらしい限りです。(ホトぺに頼らない集客法を知りたい方はお教えします)
官界癒着の闇
本来なら、1円でも多く困った事業者のもとへ届けるのが給付金の主旨です。それが業者に中抜きにされています。
百歩譲って、中抜きにしたとしてもそれなりにスムーズに手続きが進めば納得はしますが、実際の業務は停滞し、連絡をしようにも電話が通じないという体たらくです。
国民1人に一律10万円が支給された特別定額給付金の事務経費は1458億円だそうです。これは1億2500万人が対象でした。
ところが持続化給付金の事務経費は789億円で、対象はおよそ200万件。1件当たり、定額給付金の33倍の予算が計上されているわけです。その実、業務実態は遅くて不明瞭。これじゃ、最初から業者に中抜きをさせるための予算を取ったと勘繰られても仕方がないでしょう。
中抜き問題は徹底的に国会で追及してほしいのですが、追及を恐れてか、コロナ禍という非常事態にもかかわらず国会は延長することなく閉会してしまいました。安倍政権にとって河井夫婦逮捕以上のアキレス腱になるかもしれない。だから、ひとまず逃げたのでしょう。
逃げ得にはさせずに、しっかりと中抜きに巣食う魑魅魍魎(ちみもうりょう)の闇を晴らしてほしいものです。
あ、そうそう、ご存じない人が多いようなので断っておきますが、1人10万円の特別定額給付金を例外にして、持続化給付金、持続化補助金、雇用調整助成金、休業協力金、家賃支援給付金にはすべて税金がかかりますよ。
ただし、無税にする唯一の方法があります。所得がマイナス、つまり赤字決算なら納める必要はありません。常識レベルのことですが(笑)
積善の家には必ず余慶あり。
積不善の家には必ず余殃(よおう)あり。
(易経)
―善事を積み重ねた家は子々孫々にまで慶福が及ぶが、不善を積めば、後世に至るまで子孫が災禍をこうむる。―