アベノマスク問題の解決策
アベノマスクの廃棄費用に6000万円、希望者への発送費用が10億円。
いずれも血税がつかわれることに変わりはなく、だとしたら単純に安いほうがいいとなりますが、事は単純にいきません。
倉庫代に6億円、保管マスクの検品代に20億円がすでに使われていて、だから廃棄すればそれでシャンシャンというわけにはいかないからです。
だいたい廃棄するにも資源の無駄であることは否定できません。だいいち血税をドブに捨てるも等しいことになるからです。
反省ゼロの安倍さんが「2億8000万枚の希望があった」「もっとはやくやっておけばよかった」とドヤ顔でコメントしたことが国民の怒りに火を点けましたね。
さて、ではこのアベノマスク問題をどうすればいいか。
これを哲学の思考法で「アウフヘーベン」、つまり「止揚」という方法で解決してみようと思います。この考え方はドイツが誇る世界的な哲学者ヘーゲルの弁証法という考え方から来ています。
アウフヘーベン=止揚とは、簡単に言ってしまえば「互いに対立する考え方や物事からより高い次元の答えを見い出す」ことを言います。
アベノマスクの解決策、こうすればいいと思うのですが、いかが?
まず1つ目の解決策。
受益者負担の原則でアベノマスク希望者は送料を自己負担とする。
それができないのであれば、都道府県別に1カ所に集約して発送。希望者に取りに来てもらう。
この受益者負担の原則は誰も否定できないでしょう。
2つ目の解決策。
それこそ安倍元首相の“自己責任”として自腹で送料を負担すること。
安倍さんならそれくらいのお金は持ってそうです笑
そして、3つ目の解決策。
マスクの在庫8000万枚を税の無駄遣いの証拠として巨大なモニュメントとして残すこと。
マスクを固める材料は必要だが国有地に野ざらしにしておけば税金はかからない。
反省と検証が苦手な国会議員と官僚にとって、アベノマスクのモニュメントを目にするごとに悔恨の思いに駆られる。とてもいい薬になるはず。(それでも反省しないか?)
以上が、アベノマスク問題を解決に導くアウフヘーベンの考え方です。
このアウフヘーベン=止揚については、かつて当ブログで「経営者よ、哲学せよ」
で述べていますので、詳しくお知りになりたい方はお読みください。
ビジネスに応用する
そこで、です。重要なのはここからです。
これはビジネスにも応用可能なのだということです。
互いに相矛盾するものを解決に導くのがアウフヘーベン=止揚の考え方ですから、これは新しい事業の創出であり、イノベーションの契機ともなるのです。
たとえば、こんなふうに。
「自動車は環境に有害である。これからの時代は生産を抑制すべきだ」
「自動車は移動手段として、なくてはならないものだ。これからも普及を進めるべきだ」
互いに矛盾する意見です。その解決策として誕生したのが、環境に優しいハイブリッドカーです。これが最近ではEV自動車まで受け継がれています。
もうひとつ。
「日本ではパン食が多くなった」
「お米の消費を増やしたい」
この2つの矛盾する意見を解決するのが、
「米粉を使ったパンを普及させよう」
という解決策です。健康やダイエットのためグリテンフリーで小麦のパンをやめ、米粉のパンを食べていると米大リーグの大谷翔平選手の発言でにわかに注目を集めている米粉パンです。
では、こういう場合はどうか。
「もっと集客したい」
「だからといって、料金は下げたくない」
互いに矛盾する意見です。これを解決に導くには、マーケティングの「USP」戦略が有効です。USPについてはすでに何度もお話してきましたからこれ以上繰り返しません。要するに、
「ライバル店にはない、ところが市場は確かにある、その領域なら勝てる」
そういうところを見つけて徹底深化させることです。
ここで初めて2つの矛盾を解決する、もう一段上の領域、つまりブルーオーシャンの海で快適に泳げるビジネスをわが手にできるのです。
「企業の目的は顧客の創造である。したがって、企業には2つの、ただ2つだけの企業家的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。」
(ドラッカー)